持ち越し
フェーデに頼むのはリスキーだよ?
そんな話をしていたつもりが、いつの間にか生贄の話になっていた僕は困惑の表情を内心で浮かべる。
「……そんなの、フェーデは欲さないと思いますよ」
生贄を求めるとか言われたら、ちょっとフェーデには引いてしまうと思う。流石に。あれだよ。怖い。
「な、なら……どうすればいいですかっ!?」
内心で引いている僕の前で、ルーナ王女殿下は身を乗り出して疑問の声をあげる。
「まず、そもそもとして、僕個人に言われても何も出来ませんね。まずは王家の方にお伺いをたてるところから始まるでしょう」
そんなルーナ王女殿下へと僕はそもそもなことを口にする。
ただの男爵家に言われても困る、マジで。
「他国に関することを僕の一存では決められませんね。我が国の方針もございますしね」
「……そ、それもそうですね」
そんな僕の言葉を聞いて、ようやくルーナ王女殿下の方はクールダウンして、椅子の方に深々と腰掛けてくれる。
「今、僕に出来るのはルーナ王女殿下が国王陛下に会えるよう、話を通してあげるくらいです。それで?どうしますか?国王陛下の方に連絡をしてよろしいですか?今ならば、そもそもとして僕がルーナ王女殿下と会わなかったことにすることも可能ですが」
「い、いえっ!連絡のほどをよろしくお願いします」
「はい。わかりました。それでは、王家の方から返信が来るまで、こちらの屋敷の方でごゆるりとどうぞ」
「わかりました」
僕の言葉にルーナ王女殿下がうなづく。
頷いてします。
そっかー……出来れば、僕の領地以外行ってほしかったんだけど。
「それと、ルーナ王女殿下」
「はい。何でしょう」
「現状、我が国の使用人はたった一人です。それも、既に老体の。家事の方はほとんど回っておりません。せっせとフェーデが毎日のように掃除して、食器を洗って、洗濯をして、色々なことをやってもらっています。ただ、それでも間にあってはいません。窮屈な生活になることもあると思いますが、よろしいですか?」
「えっ?竜が家事をやっているんですか?」
自分の家で暮らすのは不便だよ?
そんなことを話す僕に対して、ルーナ王女殿下の方はそれ以前のことについて言及し始めるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます