お礼の言葉
マリエが圧倒的な実力により、あっさりと制圧された仮面の男たち。
四肢が落とされるばかりか、口までも容赦なく落とされてもう仮面までも地面に落ち、ただの血まみれの男たちとなってしまった彼ら。
「やりすぎじゃない……?」
そんな惨状を前に、僕は思わずポツリと素直な感想を口にする。
ちょっとこれはやりすぎの域なのではないだろうか……?
「いえ、これくらいが妥当です。私は当然のことをしたまでです」
そんな感想を持った僕に対して、マリエは妥当であると力強く豪語してくる。
「いや……冷静に考えてさ、口のところを落としちゃったら、もう何もしゃべれないじゃん」
ちょっと喉がダイレクトにむき出しになっているというあまりにもグロすぎる光景にちょっとだけ目を背けながら、どうしようもない問題について指摘する。
口がありませんっ!なんて患者は僕のしょっぱい回復魔法じゃ何とか出来ない。
「大丈夫でしょう。フェーデの奴が治します」
「人任せだなぁ……」
いや、確かにフェーデなら何の問題も出来るだろうけど、彼女呆れてしまわないだろうか……?
フェーデなら僕に頼れられたっ!とか言ってノリノリで回復している彼女の姿を想像できるけどさ……ただの餓鬼一人に頼られて喜ぶ竜って何?めちゃくちゃありがたいけど、冷静に考えると意味の分からない状況過ぎる。
「あぁ……それで、ごめんね。これまでちょっと放置していて」
仮面の男たちの惨状について呆れていた僕は、話し相手をマリエの方から自分の後ろにいるボロボロの少女の方に視線を向ける。
「え、えぇ……大丈夫です」
「そう言ってくれると助かるよ。それで?大丈夫だったかい?」
「はい。おかげで助かりました……貴方がいなければ、私は確実に助かったいなかったでしょう。改めて感謝申し上げます」
「僕はこの地の領主として、当然のことをしたまでだよ」
「いえいえ、本当に何とお礼を申し上げればいいのやら。しかも、まさか領主様に会えるとは……あっ、申し遅れました。私は───」
さりげなく謙遜する僕の言葉に反応するボロボロのドレスを身にまとった少女は、そのまま自分の自己紹介を告げようとする。
「……いや、その自己紹介は後で聞こうか」
だが、その自己紹介の言葉を僕は止める。
「身なりの話とかもあるしね。まずはうちの屋敷に案内するよ」
「本当ですか?何から何までありがとうございます」
そして、そのまままずは彼女のことを自分の屋敷の方にまで案内するのだった。
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