波及
自分にはさほど関係ないだろうと切って捨てたオルスロイ王国で起きた革命。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ」
だが、その後すぐにその革命は僕の方にまでしっかりとダメージを与えてきた。
「な、何で……僕にまで来るんだよ。男爵家の力添えなんていらないでしょぉ」
僕へとダメージを与えてきた要因。
それは、自分の元にパテーマ王国の方からやってきた遠征の支援願いだった。
というのも、オルスロイ王国の野蛮な革命勢力を叩き潰すために、世界各国が連帯して兵を出兵させることが急遽行われた国際会議で決められてしまったのだ。
そして、その出兵を行う国の中には当然パテーマ王国も入っている。
というわけで、パテーマ王国はこの国の貴族たちに支援を行うように願いという命令を下してきたのである。
「こういうの……普通はただの男爵家風情のところには来ないでしょ」
とはいえ、だ。
こういうのは基本的に余裕のある上の方の貴族に行うようなもので、僕のような木っ端貴族に送られてくるようなものじゃないでしょ。
「何故だァ、僕が嫌われているからか?んっ?」
僕がせっせと温泉業で貯めていたお金。せっせと軍拡してきた騎士団。
それらを接収しようとしているパテーマ王国の何と残酷なことか。
「くそぉ……都合のいい、耳障りのいい言葉ばかり並べやがって」
そんな残酷なことをしようとしているパテーマ王国からの命令書には僕を英雄と称えるような文面が入っていたり、雑にこちらを煽ててさも、嫌っていないですよ?ただ、信頼しているだけです。
みたいな面をしているその命令書にただただ怒りだけをみなぎらせる。
「あぅあぅ……マジでないぞ?」
そんな命令書への怒りを募らせる僕は、それと共に軽く試算してうちがどれだけ支援できるかを考えて出した結論を見て、一気に顔面を蒼白なものとしておしっこをちびりそうになる。
「こ、こんな少額を送る訳にはいかないし……いや、金はどうあっても、むりぃ。限界のそのまた向こうに行っても、ささやかだよ。こんなの送りつけられても困るでしょっ!?」
貴族とは見栄の生き物だ。
いくら、自分が男爵だからと言っても、ここで少額を送って舐められるわけにもいかない。
「こ、こうなったら……軍隊で勝負だ。僕の騎士団をもうほぼ全員送りつけてやるっ」
うちの護衛なんてマリエとフェーデの二人がいればいいでしょ。
もう街を取り締まっている警備兵を抜いた全部の騎士団を送りつけてやる。
「絶対にうちの兵士は失わせないからなぁ……っ!一人死ぬだけでうちの家系は火の車になるんだからっ!一人の兵士を育てるのにどれだけのお金が必要になると思っているのだっ」
ただ、それはそれとして騎士団の団員を一人も失うことを許せない僕はマリエの方に訓練を厳しくさせるよう伝えることを決めるのだった。
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