革命

 自分の元に飛び込んできた驚きの報告。


「えっ……?革命?」


 それは我が国、パテーマ王国の隣国であるオルスロイ王国で革命が起こったというものだった。


「えっ、ちょ、まっ、はっ……?」


 ゲームにもなかったイベントごと。

 フランスがこの異世界に転移してきたのかと思うような報告を前に困惑の声をあげる。

 

「この時代に……?」


 多分、文明レベル的には近世に行き切らないレベルの中世。

 ちょっと革命起きるの早くないか……?それに、個々人の強さに差があり、平民がどれだけ束になろうとも魔法を幼き時から学んでいる貴族に一蹴されるようなこの世界で革命を?


「しかも、成功しちゃっている……」


 そして、その革命をしっかりと成功させるだと?

 何が起きているの?


「珍しいことなのか?」


「うん、中々。人間が竜に勝つくらい」


「そんなのありえないのじゃ!」


「それくらいのことが起きているってこと」


「だ、大事件じゃ……っ!」


 そう、大事件だ。

 確実に後世にまで語り継がれるような事件となるだろう。


「えぇ……」


 オルスロイ王国で革命が起こり、そればかりか王都が革命軍に占拠。

 国王は既に処刑されたというあまりにも驚きしかない報告を前に、僕は困惑の声を漏らす。


「一体、どこが……?」


 こんなの、間違いなく平民たちによる圧政への反抗の形、というわけではないだろう。

 後ろにどこかしらの組織がいることは間違いない。

 とはいえ。


「どこが?」

 

 何処の組織がオルスロイ王国で革命を起こそうとするのだろうか?

 そんなことをしそうな組織……ゲームにいたかな?


「いや、いないか」


 少し悩んだ末、いないという判断を下した僕は早々に自分の考えを放棄する。


「まぁ、割と関係ないでしょう」


 ドミノ理論というものがあるらしいが、それでもたかが男爵家風情に出来ることなんてほとんどない。

 今、ちまちま何とか出来るレベルにゆっくりと軍備を拡張している程度の木っ端男爵家に出来るなんてないし、所詮はお上が行動するのかをぼーっと眺めて終わりでしょう。


「そんなことよりもやることはあるよね」


 驚きはしたが、それの影響が自分の方にまで波及してくることはないだろう。


「よし、フェーデ。この報告書は本棚のところに立てかけておいて。今、出来ることは特にないし、ノータッチで」


「わかったのじゃ」


「さて、職務を進めていきますかぁー」


 なんてことを、呑気にもそんなことを思っていた僕は、革命の話を見なかったことにして、自分の執務を再開させていくのだった。

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