マリエのコネ
ローアロス伯爵閣下など、自分が関わりを持ったことのある貴族の方々へと挨拶した後。
僕はマリエのコネを頼り、多くの貴族へのあいさつ回りを行っていた。
「どうやったのだ?あの剣聖を配下にするなど……凄いなどという話ではない」
ロロノア男爵領から遠く離れたミロカロア侯爵領。
そこにまであいさつ回りでやってきた僕は今、ミロカロア侯爵閣下と面会している最中だった。
そこで尋ねられるのはマリエについてだった。
「……そう、ですね」
今、自分が見ているマリエの姿はミロカロア侯爵閣下の用意した実力者十名を相手に完勝してみせた実に心強いものだった。
確かに、あの化け物みたいな強さを持ったマリエをどうやった男爵家の当主が部下に出来たのか、疑問ではあるだおる。
「たまたまですね」
とはいえ、僕に答えられるのなんてこれくらいなのだ。
「たまたま?」
「はい、自分が散歩していたら彼女が倒れているところを助けまして。それから、彼女は自分に付き従ってくれています」
マリエに関しては、最初から知っていた部分が多い。
彼女はゲームにおいて、前日譚の段階で死んでしまっていた最強格のキャラとして出てきたのだ。
マリエの死ぬタイミングがわかっていた僕はその場面に駆け付け、細やかな回復魔法をかけて回復させたのだ。
その時点での僕としてはほんの少し、一回の回復魔法分くらいの力を借りられたらいいなぁ……っていうレベルの話だったのだが、なんか思ったよりも忠誠を誓ってくれているのだ。
もう何で?とは思うけど、めちゃくちゃありがたいのでそのままお世話になってしまっている。
「あの剣聖が倒れた、だと?何があったというのだ?」
「……簡単に言うならば、信頼していた相手からの裏切りでしょうか。数千の敵に囲まれて三日三晩戦い、そして、倒れたのです。その前の段階で毒を盛られてもいましたから。いくら、マリエであっても難しかったのでしょう」
「そんなところを、君が救ったのか?」
「ははは」
いや、普通にマリエが一人で乗り切りましたね。
僕がしたのは回復だけです。
とはいえ、相手に自分を大きく見えさせるために曖昧な笑みで返してやる。
まっ、向こうはどうせすぐに忘れるだろうし、このくらいは良いよね。
「……凄まじいな、君は。これまで悩みの種でしかなかった男爵家の新たな当主はどうやら期待できるようだ」
「ありがとうございます」
侯爵家の当主から既に当主としての扱いを受けた僕は彼の言葉に対して、感謝の言葉を返すのだった。
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