影響
これまで病気につき、寝込み続けていた父上。
それが亡くなってしまった。
その報を受け取った後のロロノア男爵家は色々な衝撃が広がり、粗雑な悩みなどが増えてきていた。
「はぁー」
父上の葬式を上げ終わった僕は一人、己の執務室で深々とため息を吐く。
自分の父上が亡くなられた。
その事実が悲しくてのため息ではない。
あの人は間違いようのないクズであったし、親らしいことをされて覚え等もない。
だから、そんな悲しくはないのだが……目下の問題は母親だろう。
「別に僕の立場は万全じゃないからなぁ」
今まで、僕が当主代行として活動出来ていたいた理由は父上が自分の後を長男へと継がせることにこだわっていたからだ。
そのこだわりにより、僕が当主代行になっていた面が大きい。
というのも、だ。貴族家の当主が誰になるのかというのは複雑な要因が絡みあう。
長子相続が基本とはされているものの、母親の生まれだったり、才能の面だったり、それら多くの事柄が関わってくる。
「僕って、長男であること以外何もないしな」
それで、肝心の僕はどうかというと終わっている。
既に亡くなっている自分の母親のは元娼婦という人間であった上に、自分個人の才能もカスだ。
それに対して、一人だけ弟はどうか?
あいつの母親は子爵家の三女で、戦闘の才能も僕とは違って十分ある。
別に天才というわけではないが、男爵家の当主に求められるだけの才覚は持っていると言える。
ただ。
「クズなんだよなぁ、あいつも」
性格面に関しては父上の血をしっかりと継いでしまっているため、カスである。
領地を任せられるようなタイプであるわけもない。
「……死ぬのが早いよ、父上」
ゲーム本編だと父上の亡くなられる時期がもっと遅くだったうえに時折、意識を取り戻していたりもしていたのだ。
それでディザイアが無事に当主となれたのだ。
ただ、これだけ早くに父上が亡くなられるなると、ちょっくらお家騒動が起きてもおかしくないだろう。
「入るわ」
そんなことを考えていた時、指し示したかのように執務室の扉が開かれて一人の女性が一切の遠慮もなしに部屋へと入ってくる。
「何でしょう?カターシャ殿」
入っていた人物。
それは自分の弟の母である子爵家の三女生まれのカターシャだった。
「義母に対する態度?それが」
「何の用でしょうか?父上の葬儀関連のお話でしょうか?これからの予定を忘れてしまいましたか?焼き終わった父上をお墓へと埋めに参るのは明日ですよ?」
「……貴方、私をおちょっくているのかしら?」
「何のことでしょう?用がないのなら帰ってくれると助かるのですが」
僕は一応、自分の義母であるカターシャに対して、まともに取り合うような態度は見せずに帰るよう促していくのだたった。
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