第四章:真実の探求 第3話:魂の継承を巡る謎

 幸明と月白は、月白の過去を知ったことで新たな疑問に直面していた。

 彼らは宗松上人を訪ね、この謎について相談することにした。


 宗松上人は二人の話を静かに聞き、深く考え込んだ。


 「魂の継承か...」上人はゆっくりと口を開いた。

 「古い伝承にそれらしきものがあったな」


 上人は古い巻物を取り出し、読み始めた。

 それは、特別な使命を持つ存在が、時代を超えて生まれ変わるという内容だった。


 「月白の中には、確かに過去の白い狼たちの魂が宿っているのかもしれない」上人は言った。

 「しかし、それは単なる記憶の継承ではない。新たな時代に適応し、進化する魂なのだ」


 幸明は月白を見つめた。

 「つまり、月白は過去の狼たちの力を持ちつつ、新しい存在として生まれたということですか?」


 上人は頷いた。「そうだ。そして、その力を正しく使うかどうかは、月白自身と...そして月白と共に歩む者にかかっている」


 幸明は身の引き締まる思いがした。彼らの絆が、この力の行方を決めるのだ。


 「しかし」上人は続けた。

 「この力には代償もある。月白の寿命は通常の狼よりも長いが、永遠ではない。

 そして、その力を使えば使うほど、寿命は縮むのだ」


 幸明と月白は驚きの表情を浮かべた。これは彼らがまだ知らなかった事実だった。


 「だからこそ」上人は二人を見つめた。

 「あなたたちの旅には大きな意味がある。

 この力を正しく使い、次の世代に繋ぐこと。

 それが、あなたたちに課せられた使命なのだ」


 幸明と月白は顔を見合わせ、静かに頷いた。

 彼らの旅は、単なる自然との調和を説くだけのものではなくなっていた。

 それは、魂の継承と進化、そして未来への希望を紡ぐ旅なのだ。

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