第四章:真実の探求 第4話:自然の声を聴く

 宗松上人との対話を経て、幸明と月白は新たな修行の旅に出ることを決意した。

 彼らは、月白の力をより深く理解し、自然との対話をさらに進めるため、人里離れた深い森へと向かった。


 森の奥深くに入ると、幸明は今までに感じたことのない空気を感じた。

 木々のざわめき、小川のせせらぎ、風の音...すべてが一つの大きな調和を奏でているようだった。


 「月白、聞こえるか?」幸明は静かに語りかけた。

 「森全体が、私たちに何かを伝えようとしている」


 月白は耳をピンと立て、周囲に意識を向けた。

 突然、月白の体から柔らかな光が放たれ始めた。

 その光は森全体に広がり、幸明の意識も高められていく。


 幸明の耳に、今まで聞こえなかった「声」が聞こえ始めた。

 それは言葉ではなく、感覚や印象のようなものだった。


 森の歴史、そこに生きる生き物たちの思い、大地のうねり...すべてが幸明の心に流れ込んでくる。


 「これが...自然の声」幸明は畏敬の念に包まれた。


 月白も同じように、森の声を聴いているようだった。

 二人は言葉を交わさずとも、深い理解を共有していた。


 しかし、その中に悲しみの響きも感じられた。

 人間の活動による自然の破壊、生態系の乱れ、気候の変化...森は苦しんでいた。


 幸明は涙を流しながら、決意を新たにした。

 「必ず...必ず、人間と自然の調和を取り戻す。そのために、私たちにできることをしよう」


 月白も同意するように鳴いた。


 この経験を通じて、幸明と月白は自然との対話をより深いレベルで行えるようになった。

 それは、彼らの旅に新たな次元をもたらすものだった。

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