第三章:迫り来る脅威 第6話:決戦の地へ
夜明けとともに、幸明たちの一団は都の中心部へと向かった。
街路には早朝の霧が立ち込め、彼らの姿を隠すように包み込んでいた。
幸明は正面の門に向かい、他のグループは各々の持ち場へと散っていった。
「幸明殿」権力者の屋敷に到着すると、門番が警戒の目で幸明を見た。「何の用だ?」
「私は権力者様と話がしたい」幸明は落ち着いた声で答えた。
「自然との調和について、重要な提案があるのです」
門番は躊躇したが、幸明の毅然とした態度に押され、上官に報告に行った。
その間、他のグループは着々と行動を開始していた。
漁師たちは川から忍び込み、森の民は木々を伝って塀を越え、商人たちは贈り物を携えて別の入り口から潜入を試みていた。
しばらくして、幸明は屋敷の中へと案内された。
豪華な広間で、権力者が幸明を待っていた。
「聞こえているぞ、幸明」権力者は冷ややかな目で幸明を見た。
「お前の仲間たちの動きもな」
幸明は一瞬驚いたが、すぐに落ち着きを取り戻した。
「では、話が早い。月白を返してください」
権力者は嘲笑した。
「なぜ返す必要がある? あの狼の力があれば、我々は自然を自在に操ることができるのだ」
その時、屋敷の別の場所で騒ぎが起こった。仲間たちが月白を見つけたのだ。
幸明は権力者に向かって叫んだ。
「自然は操るものではありません!私たちはその一部なのです」
権力者の表情が変わった。「捕らえろ!」彼は警備の者たちに命じた。
幸明は身構えた。決戦の時は、まさに今始まろうとしていた。
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