第三章:迫り来る脅威 第5話:策を練る

 仲間たちとの再会で勇気づけられた幸明たちは、救出作戦の詳細を練り上げていった。

 宗松上人の知恵、各地から集まった仲間たちの多様な技能、そして幸明自身の自然との調和の力。

 これらを組み合わせ、最善の策を練ろうとしていた。


 「権力者たちの本拠地は、都の中心にある大きな屋敷だ」情報を集めてきた仲間が報告した。


 幸明は地図を広げ、みんなで検討を始めた。

 「正面からの突入は危険すぎる。裏口か地下道を探すべきだろう」


 「私たち漁師が、川から忍び込む道を探ります」と、海辺の村から来た男が申し出た。


 森の民からは、木々を利用した潜入方法が提案された。

 町の商人たちは、贈り物を装って屋敷に近づく策を考え出した。


 議論は夜遅くまで続いた。様々な意見が飛び交い、時には対立も生まれたが、全員が同じ目標に向かって真剣に考えを出し合った。


 最終的に、複数のグループに分かれて同時に行動を起こすという計画が立てられた。


 「私は正面から交渉を申し込む」幸明が言った。

 「その間に、他のグループが月白を探し出す」


 宗松上人は深くため息をついた。「幸明よ、お前は最も危険な役目を買って出たな」


 幸明は静かに頷いた。「はい。でも、これが私にできる最善のことだと思うのです」


 夜明け前、全員が集まり、決意を新たにした。


 「みんな、気をつけて。そして...ありがとう」幸明の声には、感謝と決意が満ちていた。


 作戦開始の時が迫っていた。

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