第二章:各地での活躍 第1話:森林伐採に苦しむ村

 幸明と月白は、東への旅を続けるうちに、深い森に囲まれた小さな村にたどり着いた。

 しかし、村に近づくにつれ、二人は異様な光景に気づいた。


 森の一角が大規模に伐採され、無残な切り株だけが残されていたのだ。


 村に入ると、住民たちの表情は暗く、疲れきっているように見えた。幸明は一人の老人に声をかけた。


 「すみません、この村で何が起きているのでしょうか?」


 老人は深いため息をついて答えた。

 「都の商人たちが来てね、森を買い取って伐採し始めたんだ。

 木材が高値で売れるからって...でも、このままじゃ私たちの生活が...」


 幸明は眉をひそめた。「森は村の大切な資源なのに、それを失えば...」


 「そうなんだよ」老人は悲しげに続けた。「でも、若い者たちは現金収入に目が眩んでしまって...」


 その夜、幸明と月白は村の集会所で村人たちと話し合いの場を持った。


 「森を守りながら、生活を維持する方法はあるはずです」幸明は熱心に語りかけた。

 「例えば、森の恵みを活かした特産品を作るとか...」


 しかし、若者たちの反応は冷ややかだった。


 「そんな悠長なこと言ってる場合じゃない!今すぐ現金が必要なんだ!」


 議論は平行線をたどり、なかなか解決策が見出せない。


 その時、月白が突然立ち上がり、村人たちの前に進み出た。

 村人たちは驚いて身を引いたが、月白はゆっくりと目を閉じ、体から淡い光を放ち始めた。


 その光は、まるで森の精気のように村人たちを包み込んでいく。

 村人たちの表情が次第に和らぎ、中には涙を流す者も現れた。


 光が消えると、村人たちの態度が一変していた。


 「森の声が...聞こえた気がする」

 「私たちが森を守らなきゃ...」


 幸明は月白の力に驚きつつも、チャンスだと感じた。


 「みなさん、森との共生の道を、一緒に考えてみませんか?」


 村人たちは頷き、真剣に話し合いを始めた。

 森林保護と経済発展の両立について、様々なアイデアが飛び交う。


 翌日から、村は少しずつ変わり始めた。

 伐採を最小限に抑え、代わりに森の恵みを活かした特産品開発が始まった。


 幸明と月白が村を去る時、村人たちは笑顔で見送ってくれた。


 「ありがとう、幸明さん、月白さん。私たちの村に希望をくれて」


 二人は、新たな一歩を踏み出した村を後にした。

 しかし、これは始まりに過ぎない。まだまだ多くの課題が待っているはずだ。

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