第一章 第3話:旅立ちの決意

 朝日が山寺を照らし始めた頃、幸明と月白は宗松上人と共に庭に立っていた。

 昨夜の会話が、幸明の心に新たな決意を芽生えさせていた。


 「師匠、これからどの方向に進むべきでしょうか」幸明は静かに尋ねた。


 宗松上人は遠くを見つめながら答えた。

 「東へ向かいなさい。都から遠い地では、人々が自然との関わりを忘れつつある。そこにこそ、お前たちの教えが必要だ」


 幸明は深く頷いた。月白も同意するように小さく鳴いた。


 「しかし、気をつけるのだ」宗松上人の表情が厳しくなる。

 「世の中は大きく変わろうとしている。新たな権力者たちは、自然を支配しようとしているのだ」


 幸明の目に決意の色が宿る。「分かりました。私たちなりのやり方で、人々の心に働きかけていきます」


 宗松上人は満足げに微笑んだ。「うむ。お前たちの絆が、きっと道を開くはずじゃ」


 別れの時が近づいてきた。幸明は深々と頭を下げ、月白も丁寧にお辞儀をした。


 「行ってまいります」幸明の声に力強さが宿る。


 宗松上人は二人を見送りながら、最後の言葉を告げた。

 「幸明よ、忘れるな。お前の心の中に、友月の遺志が生きているのだ」


 幸明と月白は山寺を後にし、東への長い旅路を歩み始めた。

 新たな冒険の始まりを告げるかのように、爽やかな風が二人の背中を押していた。

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