第八話 フェンリルのためにご飯作るよ!!
さ、わんこの…コホン。フェンリルの子供のためにご飯を用意したいんだけど……
う~ん、何があったかな。頭の中で家にある食材を想像する。カップラーメン、菓子、冷凍食品が少しだけ、パックのごはん……。あぁだめだ。食材というかもう全部片手間で~みたいなやつしかない。フェンリルのごはんになるわけもないしな。
ぬ~…。他には……とまと、とか。
……よし決めた!
「ヘレナ、一回
《私は良いですが、フェンリルさんに聞いてみてください!》
「え~?伝わる?人間の言葉だよ!」 《まぁまぁ》
少し恐れを感じながらも近づいて聞いてみる。
「……えぇ~っと、ちょっといなくなるけど、いいかな…?」
「?」二匹は顔を傾けこっちを見ている。
くっ!なんて健気な!可愛いじゃねえか!
けどやっぱり伝わってなさそうなんだよな~!!
「う~ん、だからね?君たちのために、ご飯を用意したいから、物を取りにちょっと僕のうちに……」 伝われっ!
「? ワンっ!」
「い、いいの?」 「ワンっ!」
「じゃ、じゃぁ……」
多分理解できていないけど、一応承諾は得た。あるものを取りに、戻ろう!
さて、こっちに何を取りに来たかというと…テッテレー♪カセットコンロ~!!
「さ!ヘレナ、戻r――」
《はい!戻りますね!》
シュンッ
「…………もう。これで三回目だよヘレナ……!」
《エヘヘ、スミマセン。マチガエマシター》
「~!!棒読みじゃん! いいけどさぁ……!」
…で、フェンリルさんは……。呆れて二匹はどこにいるかと視線を動かす。
あらっ。またぐっすり…。じゃ、だいじょぶか。
《え~それでは、今日は何を作るんですか?耕さん。》
「え~今日はですねぇ~なんだと思いますか??」
《も~。じらさないで教えてくださいよ~》
「ははは~。何だとおもいますか~」 《え~なんですか~?》 「何でしょうね~」
「《ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ…」》
―――――スンッ。
《……何やってるんですか耕様》
「え。そっちが始めたんでしょ」
《いや、すぐに何を作るか教えてくれればよかったでしょ》
そんなやり取りをする僕たちは、遠い目をしていた。
《…で、何を作るんですか?》
「うん。まぁ見ててよ。とまと使うんだ」
《結局教えてくれないんですね……いいですけど…………》
ではまず、平らで開けていて、周りに燃えるものがないところに、カセットコンロをおきます!
《また地べたですか……。寝袋の件の二の舞に……》
「うん。しょうがないよぉっ!この間キャンプの机買うの忘れたんだからぁッ!」
《今度買いに行きましょうね……》
「うん……とりあえず鍋貸して。片手鍋」 「はい」
ヘレナにこうやってものを頼むと、一瞬で手に握られてるから、びっくりするんだよねぇ……。最近は割と慣れてきたけどっ。
それはさておき、鍋に水、を…
「持ってくるの忘れたぁぁぁ!!戻るかぁ……。はぁ…」
《水を忘れたんですか?》 「うん。そうだけど」
《そこの川のでしたら、そのまま使えますよ?》
「は?何を……」
い、いや、あの川に流れているのは精霊の泉の水だぞ?ありえるな……。
「本当に、大丈夫なんだよね」
《えぇ。そのはずですよ》
「え。そのはずって……。はぁぁ…やってみるか」
それではまた作業を再開!鍋に水を入れて、カセットコンロの上にセット!
カチッ。中火っと。沸騰するまで6分くらいかなぁ~
その間にっ!やりたいことを済ませておこう!
今回使う三つのとまと。笊に入れたまま小川でしっかり洗う。いや、僕も食べたいし、もう一個も洗っておこう!洗えたら、
「包丁、まな板!」 《へいお待ち》
「よぅし!やるz――」
「ワンワンっ!」
「って! フェンリルさん! 危ないよ~。火とか、包丁とかあるからね~。あっちで遊んでてね~…」
「クゥ~ン…ワンっワンっ!」
お。今度はしっかり理解できたのか、少し遠くの木陰へ行き、こちらを観だした。
うん。良かった!
さてさて改めて、とまとのおしりに浅く十字に切れ込み。へたも取っておく。
う~ん。最近は自炊しないからなぁ。包丁コワイ……。
(そしてその作業を地べたでやっている耕様、あなたも狂気なんですよねぇ…)
「ヘレナ、そっちは沸騰してる?」 《え? あぁ。まだ沸騰はして―…ます》
「え?! 早くない?! なに、鍋の効果とかそういう?! すごぉ…」
とりあえずカセットコンロの火は消して……。
「ヘレナ、ボウルとおたま」 《へいお待ち》
ん?さっきからその返事何?と思いつつも、ボウルに冷水…川の水をすくい上げ、
次。おたまの上に一つトマトを乗せ、お湯の中に。15秒くらいしたら引き揚げて、こんどはさっきのボウルへ~。四つともやっておこう!そしたら、皮を十字のところからむく。それぞれ六等分に切り、断面からたね(ジェルのとこ)を取り出しておく。ワンチャンとかにはアレルギーになる可能性があると聞いたことがある!
さて、その皮をむきジェルを取り出したとまとは、まな板の上で細か~く、ペースト状になるまで刻んで…
えーお皿…は無いから、プチリ。頭上にあった幹から一枚の大きな葉を取り、トマトをその上に……。
「じゃーん!フェンリルさんたちおいで~」
「ワンッワン!ワンワン!」
「キャ~!!モフモフ~!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます