第五話 ちょっくら買い出しへ~

 とまとの苗を植えた日の翌日。

「くあぁ~…」 木漏れ日の中目を覚ましたが。バキバキバキッ

 ぐぬぬ。節々が痛い…!やっぱり現実世界あっちへ戻って寝るべきだったか!

 しかし、節々が痛むとは言えど、現実世界あっちの寝起きより頭がスッキリしているような気がする。これも異世界効果か…なんてことを思ってトマトの方へ目を向けると。


「ぎょえぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇえぇぇぇえぇえぇぇぇぇぇぇ~!!」


 なんと、もう芽が出ているではないか!!

 一瞬あっけにとられてボーっとしてしまったが。あ!そうだ水やり!【園芸】スキルで取り出したじょうろを片手に小川へ急いだ(急ぐ必要はないはずだが何となくだ)。


 水を汲んでから思う。この世界の水って、すんごいキラキラしてるなぁ。あ、でも僕はこの世界に来てからこの小川の水しか見てないか。いや、にしたって、異世界ってすごい。

 小川から拠点(仮)までそう遠くはないが、(200メートルくらいだろうか)、いつか水をひいて便利にしたいなぁ。って、僕ここに住む気満々だなぁ…!


 水やりを終えてからあることに気づく。大学が、ある。ぬっ、どうするか。正直今日の授業は出なくてもいい気がするし、なわばりのパトロール(お散歩)もしたかったが。…お腹もすいてるし、とりあえず戻るかぁ…


——現実世界へ戻って—— 

 うーん。今日は授業でなくていいや。冷蔵庫に入っていたヨーグルトを食べながらそう決意(?)する。

 あ、そうだ。今日はいろいろ買い出しとかしてこよう。

 

 そう思いついて最初に言ったところは、アウトドア用品店。ふむ。興味深いものがたくさんあるなぁ。しかしそうじゃなくて、お目当てのものがあるのだ。それは…

「あった!これだ~!!」

 寝袋(シュラフ)だ。お~コンパクト…!しかも軽い!さすがにまた地べたに寝て足腰を痛めるのはつらい。くっ!思い出したらまた痛くっ!

 まあそんなことはさておきその寝袋を買い次の店へ。


 ふぅ、重かったー。買い出しを終えて家に帰ってきた。

 うちは割と都会の方だから、今日行ったお店には割と気軽に行ける距離なのだが、さすがに、カップヌードル(たくさん)、冷凍食品(たくさん)、好きなお菓子や食品(たくさん)、寝袋、そして極めつけに念のためにと買った肥料(2個)!が、めちゃくちゃに重かった。はぁ、車欲し―、運転免許証ねぇー… はぁ…

 そんな時励ますように僕の目に入ってきたのは、三つのおにぎり。

 ぬぅ…これ食べたら異世界行くか…。


 買ってきた食品を冷蔵庫にしまい、再び異世界へやってきた。

 はぁ、もう夕方になっちゃったな。草抜きしよ。あっ。そうだ軍手。買ってくるの忘れちゃったけどー…

「ヘレナ、ある?軍手」 頭上をフヨフヨ漂っていたヘレナに聞く。

《ありますよ。はい、どーぞ》

「おっ、ありがとう。【園芸】スキル万能~♪」

 そして僕はスチャッと軍手を装備し草抜きを始めた。


——日が落ちる少し前——

「よしっ、今日はここまで」

 あんまお腹減ってないな~。まあ、ご飯食べたの三時過ぎだったし。

 うん。今日はもう寝よう。

 そう思って現実世界あちらから持ってきて隅に置いておいたシュラフをひらけた場所に敷く。もぞもぞ… うむ。昨日よりは寝心地がいいかも。そうそう、これを買ったときは高けりゃだいじょぶだろと思っていたが、このシュラフは封筒型で、寝返りも打てるし、涼しいってやつだから、しっかり快適だ。よかった。

 いやしかし、地べたにそのままシュラフって!絵面的に!

 あ、家建てたいかもなぁ…

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