百合一輪を
菫野
百合一輪を
むらさきに綴ぢられてゆく感情のゆふぐれバスは永遠だつた
海底をめざして歩き出したのにいつしか時計塔へ来てゐる
髪洗ふひとはさびしきかはたれのそら鷺色の月が見てをり
たれもたれも髪を洗ひぬあんなにも宇宙にひとり蹲りつつ
ゆびさきの刺青 魚 ひらひらと水に浸せば沖へ揺れゆく
アルファでありオメガであるといふ神の
風船のやうに鯨を散歩させ日記に今日も快晴と書く
ブルーマロウにレモンを搾る真夜中の「われを容れざる世界をおもふ」
卵割るたびあらはれる
夕映えの平均台を踏み出して捧げ持ちたる百合一輪を
百合一輪を 菫野 @ayagonmail
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます