第4話 ジョーカー
***
「君はジョーカーなんだよ」
彼がシアルの元に訪れるようになって4度目の夜、部屋に入って早々彼がそんな言葉を口にした。
「もう来ないで」とリヴェレの身を案じて何度もそう言っても彼は聞く耳を持たなかった。
そして彼がいつものごとくここに来るのを心のどこかで安心している自分がシアルは何よりも嫌いだ。
そんなシアルをよそにリヴェレはなおも続ける。
「あるゲームでは邪魔者だし、そのまた違うゲームでは最強になる。
居る場所によって扱いが変わるんだ」
「だから私を盗む……空の上に連れて行こうって言うの?」
それに答えるようにリヴェレは口元に笑みを浮かべるも、多くは語らなかった。
「あとは君次第だ」と言っているようで胸が緊張でドキドキと脈打つ。
「……私が空の上に行ったら幸せになれるの?」
「もちろん、僕が保証する」
幼い頃から誰もシアルを見てくれなかった。でも彼は違う。
目をそらさずしっかりと自分を見てくれる。
それが何よりも嬉しくて仕方がない――。
そしてシアルはリヴェレの手を取った。
「私を幸せにして」
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