第23話 好意
「......ほ、星川......です」
「ふーん、星川ちゃんか。下の名前は?」
「あ、秋.....」
あれ、まって?これ秋人って言って大丈夫か?モロ男の名前だけど......この不良たちは僕のこと女だと思っているんだよね?ここで男ってバレたらヤバくないか?
『はあ!?男だァ!?騙しやがったな!ぶっ殺してやる!!』
『ち、ちょ、待って!騙してないです!!』
『んな女子の制服着ておいて、騙してねえとか通らねえぞコラァ!!』
『......ほ、星川さん......どういうことですの、男って』
『これは違うんです!!騙す気なんてなくって!!』
『せっかく、お友達になれたと思ったのに......もう誰も信用できない、ですわ』
ギャアアア!!!ダメだこれあああ!!!
「星川 秋......か。いい名前じゃねえか」
「!?」
秋になっちゃった!!
「名前教えてくれてありがとな、秋。じゃ、行っていいよ」
「......は、は、はひっ」
僕は何度も頭をさげ、西宮さんの手を引いてその場を去った。くぅ〜最後までなんて情けないんだ!これは僕のトラウマに追加されること間違いなし!はあ......なんで僕って昔からこうなんだろ。
自身がなく、臆病でビビリ。絶対西宮さんに幻滅されてる......まあされてても関係ないんだけど。
「ありがとうございます」
「......え」
「さっき、わたくしのこと助けてくれて」
「あ、いや、それは......その、別に」
「ふっ、ふふ」
「?」
「す、すみません。さっき、めっちゃ怖かったので、ふふふっ」
「あ、うん」
西宮さんが突然笑い出した。恐怖で情緒おかしくなったのか?まあ無理もないけど。ほんと怖かったし。
でも、なんだろうか......こうして彼女の笑顔を見ていると、自分のしたことが肯定されたような気がして心が少し軽くなった感じがした。
「では、わたくしはこちらの道なので」
「!、ああ、うん.....また明日」
「はい!また明日、ですわ」
にんまりと白い歯を見せる西宮さん。手を小さく振って彼女は背を向けかけていった。
むぐぅ......あーあ、ダメだこれやっぱり好きだぁ。
――星川さんと別れ、一人歩く。
いつまでも静まらぬ胸の鼓動。星川さんがわたくしを守ろうと割って入った時の光景が目に焼き付いて離れない。
「......かっこよかった、なぁ」
繋いでいた手を眺めていると、つい言葉がこぼれ出た。
ふふっ、わたくしってば......女の子あいてに何をときめいているんですか。まったく。
クスクスと、そんな自分がおかしくてつい笑ってしまう。
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