第15話 思惑
賢人への説明が終わった。顔を真っ赤にしている賢人。マジで悪かった。全部澪のせいだから。
「......あ、あの、新田くん」
(ん......って、おおっ!?)
ふと声がして横をみればそこには学校一の美人と呼び声の高い西宮さんが立っていた。
(やべえ、朝からこんな近くで西宮さんを拝めるだなんて......!!)
亜麻色の艷やかな長髪、すっと通る鼻筋、潤む瞳がまた愛らしい。まさに美少女。
例に漏れなく、僕もまた彼女のファンである。
「あ、ああ、おはよう西宮さん」
うーむ、やはりイケメンと美少女の組み合わせは映えますなぁ。悔しいけど。
そんなことをもんもんと考え二人を眺めていると、唐突に西宮さんがこちらをみた。
ドキリと跳ねる心臓。
「おはよう、えーと......ごめんなさい、あなたお名前は」
「は、はい!星川といいます!」
「星川さんね、ありがとう」
まさか、あの西宮さんに話しかけられるとは......!!
人生捨てたもんじゃないな、まじで!
「あのね、星川さん」
「はいっ」
「ちっ」
?、なんだ?背後から舌打ちが聞こえた気がするんだけど。しかし西宮さんには聞こえて無いようで気にすることもなく話を続けた。
「突然なんだけれど、星川さんわたくしと......お友達になってはくれないかしら」
「!?」
な、なんつった!?友達......だと?
「え、え、僕と西宮さんが......ですか?」
「はい。嫌ですか?(僕......?)」
ま、マジで言ってるのか?夢じゃないよな、これ?あの超絶美少女、西宮 姫子が僕とお友達になりたいだと!?
――いや、まてよ?
なぜ僕なんだ?となりのイケメンである賢人ではなく、なぜ僕と友達に?
西宮(......ここはまずこの謎の女と友達になり、新田くんとの関係性を明らかにする事が第一!だがしかし急に交友関係を検索されれば不審に思われ、あたしが新田くんを好いていることがバレてしまう可能性がある......そう、それは絶対ダメですの。めっちゃ恥ずかしいし。なので先ずはそれを自然に聞けるくらいの友達という位置にポジショニングする!それが最善手なのです!!あとこいつと仲良くしておけば新田くんと接する機会が増えるかもしれないし!!)
――そうか、そういう事か!
西宮さんの落ち着かない視線、しきりに髪をいじるその姿。それらの行動から導きだされる答え......それは。
「西宮さん」
「は、はい」
「わかりました、お友達になりましょう」
「ありがとう!」
(も、もしかすると......西宮さんは、僕の事が気になっているのかもしれない!!)
――その時、佐藤 澪は秋人の背後でその一部始終を眺めながらこう思っていた。
おいおいおい、なんなんだこの状況は!なーにデレデレ鼻の下伸ばしてんだよ秋人このんにゃろーが!ふざけんなよマジでさぁーあ!!
つーかどういうつもりだべか西宮さん!?急に秋人に近づいてきてよぉ!?まさか秋人の事ば狙ってんじゃないべな!?ああっ、もう!!なんまらイライラしてきたんだけど!!
って、いやいや、まてこら!近え近え!顔近えから!離れろやおめえら!!
――その時、新田 賢人は高鳴る胸を抑えながら、秋人の笑顔を眺めつつこう思っていた。
......な、なんだこの感じ......今まで感じたことのないこれは。
耳元で囁かれたときゾクゾクとした。けどそれはけっして気持ち悪いとか嫌だという感覚はなく、不思議な感じだった。
こう、頭がふわふわとして、まるで天国に誘われているかのような......だとすると秋人は女神様?い、いや、なにを言ってるんだあいつは男だぞ!そして僕の親友だ!
......けど、すげえいい匂いしたな。(※茜の香水)
じゃ、じゃない!変態か俺は!!くそ、どうしちまったんだ!!胸の高鳴りが全然おさまらない!!
......けど、あれが秋人の素顔か。芸能人より可愛いな。マジで。
じゃ、じゃない!変態か俺は!!それに秋人は男だぞ、失礼だろ!!
――四人の思惑が複雑に交差する☆
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