第11話 興奮
アイスを舐めて堪能していると、隣に座る姉が僕の肩を指でつついてきた。
「なんだよ、やらねーぞ」
「いや違うから」
アイスを食べ終わっていた姉が僕のを狙いだしたかと思い、アイスを遠のけ睨みつける。だがしかしそういうわけではなかったらしい。見れば姉は僕の脚を指差していた。
「股を開いて座るな」
「!」
そう言われて気がつく。つい普通にガニ股で椅子に座っていた僕。
「ほら、練習しないとでしょ」
「あ、ああ.....そうだな」
僕は脚を閉じる。姉がいてくれてよかった。一人だったら何も気にせず脚を開いたまま座っていたところだ。学校でこんなことをすれば一発アウト、また変な目で見られてしまうところだった。
「ありがとう、姉」
「気をつけなよ。あとアイス食べるのもあまりペロペロしないほうがいいかもね」
「?」
僕はアイスを食べるときペロペロと舐めるのが癖だ。今もそうやって食べてる。
でも、どうして駄目なんだ?
脚を広げて座るなはわかるけど、アイスをペロペロするのは女性らしくないのか......?
(えっ!?)
ふと気がつけば向かいに座る誠がこちらをガン見していた。ふーっふーっと鼻息をあらくし、目は血走っている。
ま、マジだ......めっちゃ見られてる!姉の言う通りペロペロしてアイスを食べるのはあんなに血走った目でガン見されるほど変な行為だったのか!!
茜(前から思ってたけど、誠って多分変態の部類だよな......目が怖え)
緋鞠(うわぁ、誠くんお兄ちゃんみて興奮してるなぁー。男とも知らずに。ウケる―)
や、やべえ。誠の視線がすさまじい。自分のアイスそっちのけで僕をみてるんだけど。
これはどうにかして誤魔化さなければ......僕の今後に関わってくるぞ。なにか女性らしいことをして、いわゆる女子力アピールをせねば!
その時、僕はぽたぽたととけて滴っている誠の持つアイスに気がついた。
「誠!とけてるとけてる!」
「......え?あっ、ヤバッ!」
僕はポケットティッシュを取り出して拭いてやる。
「ご、ごめんなさい!せっかく買ってもらったアイス......」
「いいよいいよ。ほら、早く食べちゃないな......って、ほっぺたにもアイスついてるよ」
僕は誠の頬についたアイスを拭き取ってやる。
「あ、あっ」
「ちょ、まって!誠、動かないでっ」
「ひゃいっ!」
これでよし、キレイになった。懐かしいな。そういや誠が小さい頃もよくこうして口元拭いてやったっけ。
「ふふっ」
思わず笑いが溢れた。
誠(はぅうぁ......か、可愛すぎるぅ。だ、抱きしめたいぃ)
茜、緋鞠((あ、これ完全に惚れてるわ))
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます