第10話 魅了


そうして偶然出くわした誠を引き連れ、僕らはショッピングモール内にあるファミレスへと来ていた。


「妹、ラーメン先食べるか?」

「食べないよ」

「?、ラーメンいいのか?」

「ラーメンはラーメン屋さんで食べるからここではアイスだけ」

「お、おう」


誠(......え、妹?緋鞠ちゃんのことを妹って言ったのか?この美人さん......妹って、妹?)


「あ、誠」

「は、はいっ!」

「どうした?なんでそんな緊張してるの?」

「すみません、なんていうかその......僕、ナンパされたのは今日が初めてでして。どうしていいかわからないです!」


秋人(ナンパ?何をいってるんだ?さっきから変だぞこいつ......いやまてよ、そういやネトゲでも時々こんな感じで変になってるよな。今に始まったことじゃないし気にしないでいいか)


「そっか。まあ、よくわからんけど誠も好きなもの食べてよ」

「は、はひっ!ありがとうございますっ!!」

「お、おう」


茜(あれ、これもしかして誠くん秋人に気がついてない感じか?しかも秋人に惚れてるっぽい?)

緋鞠(あー、誠くんこれ良い玩具になるかも。なんというハッピーセット)

秋人(......なんだ?姉と妹が悪い顔してる......怖っ)


姉と妹、二人が悪人の顔をしていることに一抹の不安を覚えつつ、僕はテーブルのベルを押し店員さんを呼ぶ。

そして注文が終わり、料理ができてくるのをまつのみとなった。その時、誠が僕の顔を見て口を開いた。


「あの、そろそろお名前「あ、誠くん今日はお姉さんは一緒じゃないの?」


妹が勢いよくテーブルに身を乗り出し誠の言葉を遮った。え、その質問そんな勢いよくする内容か?誠は妹の奇行に驚きながらも質問に答える。


「え、ああ.....丁度別行動してたところで」

「大丈夫なの?お姉さん誠くんのこと探したりしない?」

「ああ、うん。一応ラインで連絡しておいた。っていうか姉さん基本買い物長いから大丈夫だと思う」


あー、確かに。あいつの買い物は結構長い。僕も前に一度連れ回されたことがあったけど、全然終わらなくて結局何も買わずに食事して終わりだったり。大変だな、誠も。


「おまたせしました~」


そうこうしていると注文のアイスが到着。コーンに丸いアイスが乗っているタイプで、姉はイチゴ味で妹はチョコ、僕と誠はバニラ味を注文していた。


「さあさあ、食べなさいな」

「あ、ありがとうございます.....」


誠はぺこりと頭をさげアイスを頬張り始める。これは俺からお前へのせめてもの労いよ。暑い中あいつに連れ出され買い物に付き合わされているお前への。存分に味わって食べるがいい。って、待ってなんかめっちゃ渋い顔してアイス食べとるんだが......嫌いなのか?アイス。


誠(......ダメだ、緊張しすぎてアイスの味がわからない......)


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