第9話 綺麗
ぼくの名前は佐藤 誠。今日は姉さんの澪と共にデパートへ買い物に来ていた僕は、別行動しているとそこで偶然にも美人で有名な星川姉妹を発見した。
長女、星川 茜さん。三女、星川 緋鞠ちゃん。
洋服屋で店員さんと会話している二人。
(二人で買い物かぁ。相変わらず仲いい姉妹だなぁ......今日は秋人兄ちゃんはいないのかな?)
秋人兄ちゃん。茜さんと緋鞠ちゃんの間にいる男の子で、長い前髪で常に顔を隠してる変な人。姉ちゃん曰く顔にコンプレックスがあるとかで人に見せたくないらしい。だから僕は秋人兄ちゃんの素顔を知らない。
だけど、そんな変人な秋人さんだが、とてもゲームが上手でいつもネトゲで助けてくれる。同じチームを組んでいて、それもあってぼくと秋人兄ちゃんは結構仲が良い。
(秋人兄ちゃん来てないか二人に聞いてみよっかな。買い物が終わるまで店の前で待って......)
――え?
ふと店内の客らしき女性に目を奪われた。
(......か、可愛すぎる......)
今まで見てきた誰よりも、といっても過言ではない。そう、まるでゲームの中のヒロインのような完璧な容姿をしていた。服装、髪型、笑い方まで、完璧だ。
すごい......こんな人、リアルにいるんだ......。
どこか普通じゃないオーラのようなものを感じる。っていうか機嫌が悪くなってきたのか、どこか気だるそうな表情を浮かべ始めた。が、それもまた......たまらない!むすっとした顔、イイ!!
あれは誰なんだろう......もしかして本当に芸能人だったりするのか?......いや、これだけ可愛いんだ、そうに決まっている。名前だけでも聞きたい。
「――!!」
ぼーっと見惚れていると彼女と目があった。
(や、やばい見てるのバレた!!......怒られる!?てかキモがられる!?)
『なにジロジロみてるの?キモチワル!』とか言われちゃったらどうしよう!こんな可愛い人に汚物を見るような眼で冷たい言葉を投げられたら僕はもう.....はぅう!!
はあはあ、と妄想を膨らませていると彼女は思いも寄らない言葉を放った。
「おお、誠!久しぶり〜!」
「え!?あ、はひっ!?」
いや、はひって!!
やべえびっくりしてキモチワル返ししちゃった!!てか待って、なんでぼくの名前知ってるの?どっかで会ったことありましたっけ......?
いや、こんな美人一度会ったら絶対忘れないでしょ!絶対夜が来る度に思い出すもん!!......はあはあっ。
いや顔が熱い!めっちゃ興奮してきたっ!!な、名前が知りたい!!SNSに自撮りあげてませんかっ!!
ぼくがもんもんとしていると、その時、彼女は更に驚愕の台詞を言い放った。
「奇遇だね、誠。どう?これから皆でアイス食べに行くんだけど、誠も食べるか?」
......な、んだと......こ、これって!
「え、ぎゃ、逆ナン!?」
ぎょっとする彼女。し、しまった、オブラートに包むべきだったか!?でもこれって普通にナンパだよな?......ああ、けどヤバい!すげえ怪訝な顔してるよこの可愛い人!はあはあ......!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます