第8話 驚愕
僕の殺意のこめられた視線、通称(家族内での)殺る気視線に気がついた姉と妹が僕と店員さんの間に割って入る。
「すみません、おに......じゃなくて、お姉ちゃん人見知り激しくてですね」
「あ、それと別にモデルとかではないですよ、この子」
「そうでしたか!ごめんなさい、とてもお綺麗な方でしたので......すみません」
「いえいえ」
......あぶねえ。マジで助かったぁ。ってかまあ、コミュ障になった原因はこの二人にもあるからこれくらいはしてくれないとなんだけど。
つーか、この服......肩の部分でてて落ち着かないんだけど。足元も制服のスカートよりだいぶ丈が短いからスースーするし。
......でも、これからはこれに慣れていかなきゃいけないんだよな。大変なんだな、女子って。
楽しそうに店員さんと会話を弾ませる姉と妹。なにがそこまで楽しいのかわからんが、嬉しそうに僕の事を話題にして盛り上がっている。
しかし店員さんが褒めてくれるのは購買意欲を刺激する他ない。今思えばさっきのモデルなんちゃらとか言ってたのもそうだったのだろう。店員さん一生懸命だなぁ.....いやもうこれ買うのは決めてるから意味ないんだけど。
二人が相手してくれているので唐突に暇な時間ができた。はやく買ってこの場を立ち去りたいなとふいに店の外をみる。
「お?」
するとそこには見知った顔があった。それはクラスの幼馴染の弟。僕の妹と同級生である男の子である。
「おお、誠じゃん!久しぶりー!」
「え!?あ、はひっ!?」
僕が声をかけると誠は今までに見たこのない驚愕の表情を浮かべすっとんきょうな返事をした。え、なにそれ、失礼じゃない?まるで化け物でもみたような反応。
佐藤 澪の弟、佐藤 誠。幼馴染の弟ということもあり結構小さな頃から一緒に遊んだりしたりしている、僕にとっても弟みたいな存在だ。だから人見知りも発動しないので、こうして普通に話しかけることができる。
「奇遇だね、誠。どう?これから皆でアイス食べに行くんだけど、誠も食べるか?」
「え、ぎゃ、逆ナン!?」
ぎゃ、逆ナン......なにが!?
――誠の顔が火照り、熱を放つ。
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