第47話
流石に硬いと言われているオオムカデの殻でも総ミスリル製の矢を受ければ、その硬い殻を貫通することが出来るようだ。
でもオオムカデは虫系モンスター。その高い生命力で殻を貫通しても気にせずに向かって来ている。
続けて僕が2射目、3射目とミスリル矢を放ち続けている間に、リムも含めたスライムたにもそれぞれの担当するオオムカデと戦いを始めていた。
僕が担当するオオムカデも他のオオムカデと接近戦で戦っているスライムたちを狙い始め、僕に対して警戒せずに隙を晒している。
これは僕の攻撃がオオムカデに取ってはそれほど致命的な脅威ではないという事なのだろうか。
そんな事を思いながらも僕は誰にも狙われないからこそ集中してオオムカデを狙って攻撃を続けていく。
僕が担当していたオオムカデは既にミスリル矢が大量に突き刺さっているのだが、オオムカデは未だに死なない。
流石に弱ってはいるのだが致命傷にはなっていないようだ。それでも何処かにオオムカデの弱点があるはずだと、僕はとにかくオオムカデに矢を放って弱点を探していく。
「あっ……。」
僕が放ったミスリル矢がオオムカデの頭部に突き刺さった。すると、オオムカデが身体をくねくねさせながら丸くなって動きを完全に止めた。
もしかして弱点は頭なのかと思い、僕は他のオオムカデにも試しに頭を攻撃してみたかったのだが、既に他のオオムカデは倒されそうだ。
リムはオオムカデの上に乗って殻の節目を変形させた剣で突き刺してバラバラにして倒しており、スライムたちは攻撃されているのも気にせずにオオムカデをそれぞれが身体にまとわり付いて生きたまま捕食していた。
これはもう終わったな。そう思った僕は倒したばかりの僕とリムのオオムカデを、オオムカデの捕食に参加していないスライムたちに捕食する様に命令を出していく。
全部のオオムカデがスライムたちに捕食されると、僕たちは移動を開始しようと思ったのだが、そんな僕たちを狙っているモンスターがいた。
そのモンスターは木の上から飛び降りて来ると、僕の首を狙ってその鋭い爪で切り裂こうとしてくる。
『マスター、危ない!!』
「うわっ!?リム!!!?」
オオムカデを倒してからすぐに戻って来ていたリムが僕に体当たりをすると、その身体の大きさをラージスライムサイズまで大きくして僕を覆い被る。
何があったのかと混乱気味の僕が半透明なリムの身体の先に僕を襲ったモンスターの姿が見えた。
それは小型の真っ黒な蜘蛛のモンスター。アサシンスパイダーの姿だった。奇襲を得意とするこのアサシンスパイダーに襲われてリムに庇われたのだろう。
アサシンスパイダーが僕の上を覆い被さっているリムに鋭い爪や毒牙の牙での噛み付き攻撃を行なうのだが、リムによってその身体をアサシンスパイダーは拘束されて逃げ出せなくなってもいた。
そのまま動きを封じられたアサシンスパイダーを真下から変形させた剣や槍を突き出して貫通させてリムはアサシンスパイダーを倒す。
『マスター、もう大丈夫だよ!』
「助かったよ、リム。ありがとう。」
助けてくれたリムにお礼を言いながら身体のサイズを元に戻してお腹に乗っているリムを下ろすと、すぐにポーションスライムとスライムドクターの掛け合わせスライムを召喚してリムを見てもらう。
「良かった。」
どうやらリムはアサシンスパイダーの毒牙を受けても毒には侵されていなかった様でホッとする。
死んでいるにも関わらず、その身体をヒクヒクとしているアサシンスパイダーを捕食する様に命令を出すと、スライムたちは群がってアサシンスパイダーの元までたどり着くとアサシンスパイダーを捕食して行った。
まさかここまで姿を隠すことが出来るモンスターだったとは思わなかったが、今後はこれを教訓にしてリムには僕の側に居てもらいながら探索を進めて行く。
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