第46話

 ブーンブーンと羽音を立てて接近して来るソルジャーホーネットの群れ。そんなソルジャーホーネットに矢を放ち命中させていく。


 今のところの命中率は70%くらいだ。密集して接近している時の命中率は高かったのだが、ソルジャーホーネットの群れが拡散してからの命中率は下がる一方だ。


 それでもそこそこの命中率でソルジャーホーネットに攻撃は命中していく。僕もソルジャーホーネットの動きに慣れて来たのも命中率が上がっていく要因だろう。


 それに接近して来れば来るほどにソルジャーホーネットに命中する確率が上がり、10メートル範囲なら確実に命中させられる。


 僕が弓から矢を放っている間にリムは森の木々を足場しにして別方向から迫って接近して来ているソルジャーホーネットを倒していた。


 反発力を利用して移動し続けるリムをソルジャーホーネットの群れは誰も捉えられない。


 その為、リムが担当しているソルジャーホーネットはリムを狙わずにカナタの方へと向かって来ているせいで、リムが優先するのは自分を無視するソルジャーホーネットを倒すことだった。


 カナタを狙うソルジャーホーネットを優先して倒している為、リムを狙っていたソルジャーホーネットからその隙を突いた攻撃に晒されるのだが、リムはそんなソルジャーホーネットの攻撃が命中する場所をミスリルとスチールの合金に変えて防いでいく。


 そんな風にリムが戦っている頃にはカナタがソルジャーホーネットの群れの一部を倒し終わった。


 「リム、援護するぞ!」


 『ありがとう、マスター!マスターの方に向かうソルジャーホーネットは任せたよ!』


 リムが自分に攻撃して来るソルジャーホーネットに意識を集中させて戦い始める。


 僕もそんなリムに応える様に自分を狙って来て迫るソルジャーホーネットを狙って矢を放っていくのだった。


 それから5分ほどの時間が経った頃、僕たちは倒したソルジャーホーネットのドロップアイテムや魔石の回収作業を行なっていた。


 まだ消えていないソルジャーホーネットの死骸を急いで召喚したスライムたちに捕食させている間に、他のスライムたちに広範囲に散らばっているドロップアイテムと魔石の回収をして貰う。


 かなりの量でソルジャーホーネットが襲って来たからか、ドロップアイテムを落とさなかったソルジャーホーネットが居ても、それなりの量のドロップアイテムが手に入った。


 冒険者ギルドで受けた依頼分だけはドロップアイテムを取って置いて、それ以外のドロップアイテムはリムも含めたスライムたちに捕食させる。


 流石に数が多過ぎて魔力の消費が懸念される。魔力が放出されない僕でも、今の魔力量は最大魔力の半分を切ってしまった。


 ここからは魔力の節約を考えて戦わないといけない。一応は万が一の為に用意した魔力回復薬もあるが、これを使うのは魔力が底を尽きそうになった時くらいだろう。


 召喚したばかりのスライムたちを送還はせずに引き連れて、僕たちは密林を進んで行く。


 ソルジャーホーネットの群れを倒してから何故だかモンスターと遭遇する事はなかった。


 その事に疑問を持ちながら進んでいると、僕たちの向かっている進行方向から初めて見るモンスターを発見する。


 3メートルほどの鮮やかな赤色をしている殻を持つ大きな百足のモンスターが迫って来ていた。


 確かこのモンスターはオオムカデだったはず、あの真っ赤な殻の強度が高くて軽いからか鎧の素材にも使われているそうだ。


 そんなオオムカデの数は3匹。今の僕たちなら倒せるはずだ。僕はスライムたちに1匹を任せ、リムにも1匹を、残りの1匹を僕が倒すと決めて指示を出した。


 地面を這う様にして接近して来ているオオムカデの1匹を僕は矢をミスリルスライムとアロースライムの掛け合わせ召喚をしたスライムからミスリル矢を受け取ってオオムカデに放つ。

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