第48話

 アサシンスパイダーという存在に警戒しながらも僕たちは進んでいると、突然地面がボコッと盛り上がって来た。


 確かグンタイアリという1メートルサイズの蟻のモンスターが現れるはずだ。この盛り上がった土の下にいる可能性が高い。


 僕はスチールスライムとスライムファイターの掛け合わせ召喚をしたスライムに確かめに向かわせた。


 全身を鋼に変えたスライムが盛り上がった土の近くまで近寄って行くと、土の中から黒い蟻の頭が出て来たのだ。


 ガバッと口を開いたグンタイアリがスライムに噛み付くのだが、ガギンッと音を立ててスライムが噛み付かれた。


 ギギギィィと音を立てるがグンタイアリの牙が鋼のスライムの身体に食い込んでいく。


 このまま放置していればグンタイアリに噛み千切られるなだろうが、その前にスライムがグンタイアリの頭部を伸ばした触手で砕いてしまう。


 頭部が砕かれて残された地面から飛び出ている上半身は地面に倒れながらピクピクと身体を痙攣させていた。


 「そのまま捕食して良いよ。」


 僕が声を掛ければスライムはすぐにグンタイアリの捕食を開始して捕食していく。


 捕食するスライムが1匹だけでは足りずに消えてしまう前に他のスライムたちも参加してグンタイアリの捕食が終わった。


 それからの僕たちは15階層のボス部屋を目指して進んで行く。順調に遭遇したモンスターを倒して倒して進んで行き、これなら今日中には15階層のボスモンスターを攻略して帰還することが出来るだろう。


 10を超える土の穴からグンタイアリが群れを成して襲って来たり、ソルジャーホーネットが群れで襲って来ている間に背後からアサシンスパイダーが奇襲を仕掛けてくるなんて事もあった。


 それでも僕たちの歩みは止まることなく進んで行き、15階層にあるボス部屋に続く門を発見したスライムたちの元へと移動を開始する。


 門の前にはスライムたちが続々と集合していた。周りを見れば冒険者の姿はない。一応この場に冒険者が居たかをリムに聞けばスライムたちが最初に発見した時から誰も居なかったそうだ。


 スライムたちが全員集合してから僕はある指示をスライムたちに告げてから、リムと一緒に行動していたスライムたちだけ(護衛の騎士も一緒に)を連れてボス部屋の中に入っていく。


 バタン。後ろから門が閉じる音が聞こえる中で巨大な樹木にある大きな蜂の巣が視界に入る。


 大量のブーンという蜂の飛ぶ羽音が森中から聞こえてくる。これだけの蜂の羽音ならばそれ相応の数のソルジャーホーネットがいるのだろう。


 今の僕の戦力は掛け合わせ召喚のスライムが20匹とリムに僕だけだ。ここはボスモンスターなのだからと、僕はスライムを掛け合わせで対ソルジャーホーネット戦を考えたスライムたちを召喚していく。


 魔力量が最大から4分の1になってしまったが、これならスライムたちだけでもソルジャーホーネットとボスモンスターのクイーンホーネットを相手にしても勝てるだろう。


 それでもこれからのボス戦には僕も参加するのだからより戦力が増して勝率も高くなるはずだ。


 未だに姿を見せずに耳障りな羽音だけが森の中にこだましている。そんな森の中を移動して巨大な樹木の蜂の巣へと向かって移動をして行く。


 巨大な樹木の周りには木々や草も1本も生えていない地面が剥き出しの地面にやって来ると、ようやくボスモンスターであるクイーンホーネットが姿を現した。


 一際大きな羽音を出して登場したクイーンホーネットの大きさは10メートルを超えているだろう巨大な蜂のモンスターだ。


 「ギィイイイイ!!!!!!」


 そして、クイーンホーネットが叫び声の様な音を出した瞬間に森中から聞こえていたソルジャーホーネットたちの羽音が一瞬だけ鳴り止むと、森の中からソルジャーホーネットが一斉に飛び出して僕たちの元へと向かって飛んで来た。

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