第18話
耐久力試験では1位はリム。2位はスチールスライム。3位はアイアンスライムの順位になったが、これは召喚リストを見た限りでは納得した。
けれど、4位は予想から外れてグラトンスライムだったのには驚き、4位予想のブロンズスライムが5位だった。
次が最後の項目だ。最後は戦闘能力の試験を行なう。これは姉さんとの模擬戦を一対一で行なって貰う内容だが、姉さんには1分間は攻撃をしないように言っており、更に攻撃の速度もスライムたちが反応することが出来る速度までのハンデありでだ。
そして始まった戦闘能力試験では姉さんは休むことなく行なっており、最後の試験相手のリムとの試合はこれまでで1番長くなっている。
リムが身体の一部を変形させて鋼の武器に変え、それをスライムファイターの戦闘技術で振るわれる。
そんなリムの攻撃を姉さんは軽々と受け流し、躱し、弾いてしまう。
「ほらほら!どうしたどうした!それでカナタが守れるのか!!」
『うぅ〜〜うらさぁーい!!』
それに怒ったリムは1番大きなサイズになると全身から鋼の武器を姉さんに突き出してきた。
槍衾のように回避するには後退しないといけない攻撃に対して、姉さんは魔力を木剣に収束されて振るうことで命中する物を全て破壊してしまう。
「リムは熱くなってるね。ミスズ姉さん、今の攻撃でリムに攻撃しないでね!」
「分かってるよ、カナタ。ほら、他にないのか!!」
『うーー!ならこれだよ!!』
リムは近接攻撃では勝てないと判断したのかスライムマジシャンの魔法や属性スライムの属性攻撃を姉さんに放ち始める。
だがやはりそれも姉さんの振るう魔力纏う木剣によって消し飛ばされる。普通なら木剣がリムの攻撃に当たったら壊されているだろうが、試験を始めてから姉さんの木剣は変わっていないのを考えると、木剣の耐久力を上げているのがあの魔力を纏う技術なのだろう。
まあ、姉さんなら素の剣術で同じことが出来そうだとは思うが。
『もうなんで当たらないのさ!!当たってよ!あぅ……!』
ピョンピョンとその場で癇癪を起こしたリムが跳ねるなか、そんなリムに姉さんの一撃が命中して吹き飛ばされる。
吹き飛ばされる途中で防具に変形していた金属防具を元に戻して、リムはボヨンボヨンと地面を跳ねて衝撃を落とした。
そしてすぐにピョンッと起き上がると、リムは姉さんに突撃する。身体をスライムビーストへと変えて姉さんに飛び掛かった。
「単調過ぎだ。」
再び姉さんの木剣による一閃でリムは吹き飛んでいく。
「ミスズ姉さん!リムの強さは分かったでしょ!だからミスズ姉さんに他のスライムも向かうようにしてもいい!」
距離が離れている姉さんに大きな声で聞いた。
「構わないよ!」
「ミスズ姉さんからの許可は取ったし、ここから集団戦だよ。みんな、少しでもミスズ姉さんと戦って戦闘経験を積んでね。」
この場には居ないグラトンスライム以外のスライムたちを姉さんとリムとの戦いに向かわせた。
それだけじゃなく僕はベイビースライムとグラトンスライム以外のスライムを召喚し続ける。それも10匹同時にだ。
「ミスズ姉さん!リム以外は倒してもいいよ。でも、2回目の攻撃でお願い!」
「分かった!だけど、同じスライムが入れば分からないからな!一応、2回の攻撃を受けたら倒れるくらいにはするが!」
「うん、そこは仕方ないから良いよ。リムもミスズ姉さんも頑張ってね!」
これでスライムたちも集団で自分たちよりも強い強敵との戦いを経験することが出来る。そしてここで僕の指揮能力の訓練も出来れば良かったけど、そこはまだ出来そうにないが離れて見ているからこそ分かったことをスライムたちに伝えることぐらいはしようと思うのだった。
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