第17話

 そうして案内されてたどり着いた練兵場の一角で、僕は早速スライムたちを各1匹ずつ召喚する。


 「カナタ、どうするの?」


 「まずは移動スピードの確認からするよ。次はスライムごとの耐久力を見たいからその時はよろしくね、ミスズ姉さん。」


 「うん、分かったよ。」


 今後、最初の方になる予定を姉さんに説明した僕は召喚したばかりのスライムたちを並ばせる事にした。


 「それじゃあみんな一列に並んで。リム、も走ってね。」


 『頑張るね!』


 足元にいたリムもスライムたちの集団の中に混じると、それぞれ綺麗に一列へとスライムたちは並んでいく。


 「合図を出したら走るんだぞ。ミスズ姉さんもどのスライムが早かったかを見るのを手伝って。とりあえず3位までのスライムだけを覚えようと思うから。」


 「構わないよ、カナタ。」


 僕と姉さんはゴールに予定している線を書くと線の横に立つ。これでどのスライムがゴールを抜けたのか分かるだろう。


 「じゃあ行くよ……始めッ!!」


 僕が合図を出した瞬間にスライムたちは一斉に走り出した。跳ねるスライム、這うスライム、空を飛ぶスライムがゴールを目指して進んでいく。


 『やったー!一位だ!!』


 ゴールに1番最初に到着したのはリムだった。自身の身体をスライムビーストの様に変えたリムは獣の前足で地面を蹴り込んだ反動でピョンピョンと跳ねてゴールしたのだ。


 次にゴールしたのはリムが変身したスライムビーストだ。スライムビーストもリムと同じように跳ねて移動したが、リムには一歩劣ってしまい2位になる。


 最後に3位はスライムバードだ。スライムバードの移動スピードも早かったが、スライムバードは飛び立つまでが時間が少し掛かってしまったのが3位の理由だろう。あれがなかったら、1位にはスライムバードがなっていたはずだ。


 ワースト3位の順位はというと1位ベイビースライム、2位ロックスライム、3位アイアンスライムだった。


 でもベイビースライム以外のロックスライムとアイアンスライムの前の順位になったスライムたちとほとんど移動スピードは変わらない様だったので、このワーストの順位はそこまで気にしなくても良さそうだと思う。


 その事を持って来ていた紙に書き込んでいくと、僕は次の試験を始まる。


 「じゃあミスズ姉さん、次をお願い。」


 「うん、任せて。」


 そして次はスライムたちの耐久力を測り始める。1番最初はベイビースライムからだ。


 そうして始まった耐久力試験。姉さんの前に出たベイビースライムは一撃でバラバラになる。


 「あっ!やっちゃった……。」


 「また召喚すれば良いから気にしないでミスズ姉さん。それでどうだった。」


 「脆かったよ。1番耐久力はないと思う。」


 「分かった。なら、ベイビースライムの耐久力を1だと考えて次からは数値で教えて。」


 それから僕は順番に姉さんの前にスライムたちを並べて、スライムたちの耐久力を測ってもらう。


 手加減している姉さんの一撃で大抵のスライムは中心にある核を破壊されて消えていくことになる。


 「最後はリムだよ。頑張ってね。」


 『うん!ボクがマスターを守れるんだって教えてあげるんだ!』


 最後にリムの耐久力を測ることになる。リムは姉さんの前に出ると1番大きさなサイズへと変わり、全身を覆うように鋼の防具を表面を変形させた。


 これはリムにしか出来ない形態だろう。他のスライムは各々自分たちの力しか出せないが、リムは他のスライムたちの能力を使えるのだから。


 リムの耐久力試験が始まった。先ほどまでと同じように姉さんは木剣をリムに向けて振るう。


 そしてスチールスライムと同じようにガンッ!!と音が立ち、木剣がリムを守る鋼の防具に弾かれる結果になった。


 こうしてスライムたちの耐久力試験が終わった。

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