第15話

 召喚したスライムたちを全て送還し、僕はリムとメイドのリタを連れて自室に戻る。


 自室に戻った僕が始めたことは、召喚することが可能なスライムの情報を紙に書き写すことだった。


 こうして召喚可能なスライムの情報を書き残しておくことで、夕食の時に父さんにスライムたちのことを伝えやすくする為だ。


 「ふぅ、間に合った。」


 夕食の時間までの間になんとかスライムの情報を紙に書き終わることが出来た。それを持って僕は最小サイズのリムを肩に乗せて食堂へと向かった。


 食堂にはまだ家族は一人も居なかったが夕食の始まるまでの間、僕は手元の紙の誤字脱字がないかを確認しながら過ごす。


 それから時間が経ち、家族で夕食を食べながら僕は召喚可能なスライムの情報をこの場の家族全員に話していく。


 「なるほどな。そんなスライムが召喚できるのか。」


 「うん。それで魔力を使ってスライムたちに素材を作って貰えば、僕の魔力も減るし作った素材を売ってお金にもなると思うんだけどどうかな、父さん。」


 召喚可能なスライムの中には素材が魔力で生成することが出来るスライムがそれなりの数がいる。


 この事を知られるのは不味い気がするが家族にする分には問題はないだろうから話した。


 「スライムが生成した素材を売るのなら私の方から手配しよう。だが、その素材の品質次第では売れないかも知れないぞ?」


 「たぶん問題ないとは思う。」


 「そうか……。」


 父さんも何かを考えている様だが、このスライムたちの力は高価な素材すらも生成する事が出来る可能性を秘めている。


 だからこそ慎重になるべきなのかも知れないが、実際にどれくらいの魔力を使えばどれくらいの素材を生成する事が出来るのかや、素材を生成するのに必要な時間がどれくらいなのかはまだ試していないので分からない。


 「カナタ、それってミスリルを食べさせればミスリルも作れる様になるの?」


 「どうだろ、ミスズ姉さん。でも多分だけでミスリルスライムってスライムが召喚可能になれぼ出来るとは思う。」


 でも、金属系のスライムが召喚可能になるまでに捕食させた金属の量はそれなりに多くあった。


 あれが銅や鉄に鋼だったからこそ集められた様な物だが、これが魔法金属のミスリルや金、銀の様な希少価値のある金属を集めて捕食させようと思えば、かなりの金額を消費することになるだろうし、それだけの希少金属を集めるのは大変だろう。


 「リムちゃんに紅茶とかお酒を飲ませたら、紅茶スライムやお酒スライムが召喚できる様になるのかしら?」


 「うーん……どうだろ?出来そうな気がしなくもなさそうだけど、分からないかな?」


 突拍子もない事を母さんが言うが、本当にそんなスライムが召喚リストに追加されてもおかしくはない為、僕は曖昧にしか答えられない。


 でも母さんのお陰で本当に色々な物をリムや召喚するスライムたちに捕食させると言う選択肢が出た。


 母さんがそんな事を言わなければ、僕だけではそんな紅茶やお酒を捕食させるなて考えなかっただろう。


 僕からの召喚したスライムの話が終われば今度は父さんから今後の僕の話がされる。


 「それでカナタは将来はどうしたい?祝福のお陰で今後は普通に暮らせるからな。」


 「ミスズ姉さんみたいに冒険者になりたい。色んな場所に行きたいんだ。」


 僕のこの答えに同じ道を先に進んでいる姉さんは嬉しそうにするが、まだ母さんは僕の身体の事もあって心配そうにしている。


 「そうか。なら、十二歳の年に冒険者育成校へと入学すると良い。」


 「いいの?」


 「ああ、構わない。公爵家は長男のショウが継ぐからな。だが、入学までの間に身体を鍛え、勉強もしっかりする様にな。」


 「うん!」


 将来のことはどうなるのかまだ分からないが、それでも冒険者を目指すことを僕は許されるのだった。

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