第5話
「兄さんたちは帰って来てるの?母さん。」
「戦況が思わしくないみたい。一ヶ月後に戦場に出るそうよ。二人ともそれで忙しくて帰れないと手紙で来ていたわ。」
「帰れなくなるほど戦況が芳しくないのか。冒険者ギルドの方でもそういう話は聞いていたけどそれほどとはね。」
母さんも姉さんも眉間に皺を寄せて難しそうな顔をしている。僕も人間族との戦争に兄さんたちが出陣すると聞いて兄さんたちが無事に帰ってこれるか心配になってしまう。
そんな僕の様子を見て二人は安心させる様に笑みを見せる。
「大丈夫よ、カナタ。兄さんたちは強いもの!」
「そうよ。今回の出兵も長引かないわ。小競り合いで終わるわよ。」
「うん。」
二人が安心させる様に笑う姿を見て僕も安心する様にホッとする。
それから姉さんに召喚したオリジンスライムのリムを紹介したりしながら過ごしていると夕食の時間になった。
「カナタ、誕生日おめでとう。」
「「おめでとう、カナタ。」」
「うん、ありがとう!」
両親と姉さんに言われながら体内魔力を減らして今までで一番嬉しい誕生日を僕は迎えた。
エルフ族は長寿のせいか繁殖能力が低い為成人になるまでの子供の誕生日は盛大に祝うのだ。
だから今日の夕食は一年の中でも豪華な料理ばかりでデザートには僕の好物であるたくさんの瑞々しい果物が用意されていた。
そんな夕食を父さん、母さん、姉さんの四人に新しく僕の家族になったリムたちと楽しく食事を食べ終える。
「さて、夕食も終わったな。カナタ、誕生日プレゼントを用意したぞ。持ってきてくれ。」
「かしこまりました。」
夕食後、扉の隣に立っていた執事長へと父さんが僕の誕生日プレゼントを持ってくる様に指示を出してから数分後、通常よりも物を入れる事が出来る魔道具の大型のマジックバックを複数持って執事たちがやって来た。
「とりあえずどれくらいの量を食べさせれば良いのか分からなかったからな。色々大量に用意した。それをリムに食べさせてやりなさい、カナタ。」
「うん!ありがとう!!父さん、母さん!!」
僕のテーブルの前に置かれた三つの大型マジックバックの中にはどんな素材やアイテムが入っているのか気になって開けたくなるがその前に姉さんからも誕生日プレゼントが送られた。
「カナタ、私からのプレゼントはこれよ。」
姉さんは空間魔法を使用して自身の空間収納から取り出したのはネックレスだった。
「それは守護のネックレス。物理、魔法の両方の防御力を上昇させてくれるわ。」
「ありがとう、姉さん!」
手渡された守護のネックレスを早速身に付ける。それを見て両親や姉さんも似合っていると褒めているとリムはネックレスが気になっているのか身体の一部を伸ばして宝石部分をチョンチョンと触れてくる。
『マスター!綺麗だね!』
「そうだね、リム。」
リムは宝石の様なキラキラしているのが好きなのかも知れない。そういえば、玄関の大広間にあるシャンデリアも興味深そうに眺めていたなと思っていると今度は上の二人の兄からのプレゼントが渡される。
上の兄の長男は宮廷魔導士をしており誕生日プレゼントは毒無効の効果のあるミスリル製の指輪をプレゼントされた。
次男は第三騎士団の副隊長をしており誕生日プレゼントにはミスリル製の短剣がプレゼントされた。
「あとでお礼の手紙を書きましょうね、カナタ。」
「うん!そうするよ、母さん!」
貰ったミスリル製の指輪と短剣を眺めながら母さんにそう言うと父さんがリムに素材を食べさせて召喚可能なスライムを増やす様に言った。
「まずはこのマジックバックのやつからね。リム、夕食を食べてたけどまだ食べられる?」
『うん、マスター!まだ食べられるよ!』
ピョンピョンと飛び跳ねるリムを見て早速開けたマジックバックの中から素材を取り出した。
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