第4話

 「カナタ、今度は今のカナタが召喚できるだけスライムを召喚してみなさい。それで体内魔力が減るはずだ。」


 リムをプニプニしていると今度は病気のせいで体内から魔力を自力で放出する事が出来ない僕の体内魔力を減らす為にスライムを召喚する様に父に言われた。


 確かに今はテンションが上がっているから身体の痛みもそこそこしか感じない。それでも今も身体を蝕む魔力を減らす為にもスライムを召喚した方が良いのだろう。


 「分かった!」


 抱っこしていたリムを地面に下ろすと僕はリムを召喚した手順と同じ様に両手を前方へと向けてスライムの召喚を開始した。


 正面の地面に展開された魔法陣から一匹のスライムが召喚されると同時に頭の中に召喚したスライムの情報が流れ込んだ。


ベイビースライム

スライムの赤ちゃん 魔力が豊富な場所で自然発生する


 二十センチほどの大きさのリムとは違って召喚されたのは十センチほどの大きさの半透明なベイビースライムだった。


 「これはベイビースライムか。カナタ、魔力の方はどうだ?」


 「ほんの少ししか消費しなかったよ、父さん。」


 「そうか。それならもっと召喚しなさい。それとベイビースライム以外も召喚する事が可能か?」


 「ううん、リムとベイビースライムしか今の僕には召喚できないみたい。」


 それから僕はベイビースライムを召喚していく。その間に父は新しいスライムを召喚する事が出来るようにと執事に指示を出して貴族としての仕事があるからと庭から離れて行った。


 周りに居る母さんやメイドと召喚したリムにたくさんのベイビースライムたちに囲まれながら僕は体内魔力を減らす為に召喚を繰り返していく。


 「凄い数ね。カナタ、魔力はどうなのかしら?」


 「母さん、半分くらい使ったよ。すっごく身体が楽になった!!」


 「そう、それは良かったわね。」


 母に僕は頭を撫でながらこれまでの人生で一番身体が楽になり軽くなった事に喜びを感じていた。


 だが問題が一つある。それは公爵家の広い庭にも関わらず埋め尽くす様な数のベイビースライムだ。


 途中から一匹ずつの召喚ではなく複数のスライムの召喚も可能になったお陰で召喚する数が増えたからか、庭にはベイビースライムが五千匹は居るだろう。


 その召喚したベイビースライムたちが庭を荒らさないように指示を出しただけな為プルプルと震えているだけだが、それでもこれだけの数のベイビースライムが居るのは問題になる。


 「母さん、どうしよう。」


 「そうね、召喚を解いたらどうなのかしら?」


 「うーん……どうだろう?」


 ギフト【スライム召喚】の刷り込まれた情報を思い出してみた。確かにそれならスライムを召喚した際の魔力の半分が召喚者に返ってくるが庭に大量に埋め尽くされているベイビースライムが消える。


 でもそうすると折角減った魔力が身体の中に戻ってしまうのが問題だがそれでも庭に居るベイビースライムの数は問題だから半分の数のベイビースライムを送還する。


 「うっ!」


 「大丈夫!カナタ!」


 「うん、いきなり魔力が戻って来たから驚いただけ……身体に問題はないと思う。」


 魔力が身体に戻った際に若干負担が身体に掛かった気もするが今までに比べれば問題はない程度だ。


 それからスライムの召喚と送還を繰り返し行なって体内魔力を減らした僕は春時期だが外の空気が冷たくなって来たこともあり屋敷の中に戻る事になった。


 その際に庭に出していたベイビースライムも全て送還し、リムを抱っこしながら庭で僕の様子を見ていた母さんたちと共に屋敷の中に入っていくとそこで姉と出会った。


 「カナタ、母さん。今帰って来たよ。それでカナタのギフトは?」


 「ミスズ、カナタのギフトは【スライム召喚】だったわ。」


 「魔力を消費できるギフトだったよ、ミスズ姉さん。」


 「そう、なら良かったわ。カナタ。」


 安堵した表情の姉さんに頭を撫でられると姉さんにギフトの話をするのだった。

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