第3話

 「なるほど、召喚する数が多くなりそうだ。スライムはたくさんの種類が居るからな。召喚可能なスライムの種類を増やさないといけなさそうだ。」


 「あなた、カナタの誕生日プレゼントは新しい種類のスライムを召喚する事が出来るそういった物にしましょうか。」


 「そうだな。夕食までには手配しておこう。それでいいか、カナタ。」


 「うん!」


 それからも屋敷に帰るまでの間、僕は馬車に揺られながら両親に他にもある【スライム召喚】のギフトの力を話して言った。


 そうして二十分ほどの時間が経った頃に公爵家の屋敷に馬車がたどり着く。


 「着いたな。カナタ、庭に移動して早速【スライム召喚】のギフトを使ってみなさい。」


 「分かった!」


 まだ濃度の濃い魔力のせいで身体の調子は良くない。だがそれでもこの状態から回復する事が出来る様になる事が嬉しく思いながら母に支えられながら馬車を降りて庭へと移動して行った。


 たくさんの子供達が走り回ることも可能なくらい大きく広い庭へとたどり着くと父は執事やメイドへと指示を出し執事やメイドたちは庭にある物を片付けていく。


 「これなら問題ないだろう。カナタ、始めなさい。」


 「うん。じゃあやるね!召喚!!」


 ギフトを授かった時に刷り込まれた知識を使用して僕は【スライム召喚】のギフトを発動した。


 今まで体内に渦巻いていた魔力が何処かに消えていくのを感じていると意識する為に前へと手を出した先に魔法陣が現れる。


 魔法陣の中央に光が発生するがそれもすぐに収まった。


 そして光が収まった魔法陣の中央に半透明な白い色をした赤い核を持つスライムがプルプルと身体を震わしながら僕を見ていた。


 僕も召喚されたばかりのスライムをジッと見つめていると母が話しかけてくる。


 「その子がカナタが召喚したスライムなの?」


 「そうだよ。オリジンスライムだって。」


オリジンスライム

様々な可能性を持つスライム


 これが召喚した際に知識として刷り込まれた召喚したスライムの種類なのだろう。


 「それでカナタ。魔力の方はどうだ。減ったのか?」


 「うん。少しだけだけど減ったよ!」


 「そうか!」


 「良かったわね、カナタ!」


 父に言われこれまで減った事のない自身の魔力が減った事を喜び笑って伝えると父も僕と同じように嬉しそうに笑っていた。


 それに釣られるように母も笑って僕を抱きしめていると僕の足にプルプルとした感触がする。


 それが気になってみる。そこには先ほど召喚したオリジンスライムが僕の足に抱き付くようにしていた。


 「どうしたの?」


 足に絡み付いているオリジンスライムに気が付いた僕はしゃがんでオリジンスライムを抱き抱える。


 「名前が欲しいのだろう。カナタ、そのスライムに名前を付けてあげなさい。」


 「名前……。」


 父に言われて抱っこしたオリジンスライムの名前を考える。


 「よし!君の名前はリムだ!よろしくね、リム。」


 『よろしく!マスター!!』


 抱っこしていたオリジンスライムにリムと名前を付けた次の瞬間に頭の中に女性的な声が聞こえて来た。


 それに僕はビクッと身体が跳ねる。それに父も母もどうしたのかと心配そうに聞いて来た。


 「なんかいきなり声が聞こえて来て驚いたんだ。父さんや母さんには聞こえなかったの?」


 そう聞くと父も母も周りに居た執事やメイドさえも聞こえてはいなかったようだ。


 あの声は一体なんなのかと思っていると再びまた声が僕に向かって聞こえて来た。


 『ボクだよ!リム!!』


 「この声、リムなの?!」


 抱っこしていたリムへと視線を向ける。するとリムはそうだと言わんばかりにプルプルと身体を震わしていた。


 それを見て父はこれは召喚したスライムとの間にあるパスを通じた念話なのだろうと教えてくれる。


 「なるほどだから僕だけに聞こえて来たんだね。」


 『そうだよ!マスター!!』


 それに顔を緩めた僕はリムをプニプニするのだった。

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