第2話

 ゆっくりと閉まったからかバタン!と大きな音をして閉まった訳ではないがそれでも独りでに閉まった扉に身体をビクッとさせて振り向いていると神官が僕を呼んだ。


 「カナタ様、神像の前に座り、目を閉じてこちらの神像に祈りを捧げてください。」


 「分かりました。」


 神官に言われた通りに僕は神像の前に膝をついて座ると目を閉じてエルフの女神アルフィーの姿を模った神像に手を組んで祈りを捧げ始める。


 「エルフの神であるアルフィー様。この者にあなた様の祝福を授けください。」


 背後から聞こえる神官の声が祝福の儀を行なっている部屋の間に響く。


 『スライム召喚のギフトを授けます。』


 いきなり僕の声とも神官の声とも違う女性の声が聞こえてきた。


 「スライム召喚?」


 「アルフィー様から祝福を授かった様ですね。」


 「はい。スライム召喚のギフトを授かりました。」


 あの聞こえて来た女性の声がエルフが進行している女神であるアルフィー様なのかと思いながら僕は神官に授かったギフトを伝える。


 「召喚系のギフトですか。それは良かったですね。それならカナタ様の病いの対処が出来るでしょう。」


 「本当ですか!!ゴホッゴホッ……。」


 神官から伝えられた事に喜びから大きな声を出して神官の方を向くが大きな声を出した影響で咳き込んでしまう。


 「落ち着いてくださいカナタ様。」


 「す、すみません。」


 背中を神官に撫でられながらつい喜びはしゃいでしまった影響で乱れた魔力を落ち着かせる。


 落ち着くまで背中を撫でられた僕を連れて神官と一緒に祝福の儀の間から出ると両親と共に今回授かったギフトの話をする事になった。


 「公爵様、ご子息は召喚系ギフトを授かりました。」


 「本当か!そうか、良かった。」


 「カナタ!!」


 個室に案内された僕と両親は神官に授かったギフトの話をされる。すると父はカナタが授かったギフトが召喚系のギフトである事に安堵し、母は隣に座っていたカナタを抱きしめて喜ぶ。


 「授かったギフトはスライム召喚です。スライム種を召喚するスキルですがギフト所持者の魔力を消費する事によって召喚しますからご子息の病いにも効果的ですよ。ギフトの詳細はご子息にお聞きください。」


 「そうしよう。これは寄付金だ。本来なら行なわない時期にカナタの祝福の儀を行なってくれたからな。」


 「ありがとうございます。」


 父は懐から袋を取り出すと何十枚も金貨が入っているだろう袋を神官に手渡した。


 父が言った通り本来ならひと月に一回のペースでひと月目の初めに祝福の儀を行なうのだが、今回は僕の病気の事もあって神殿側に無理を言って祝福の儀を行なって貰ったのだ。


 盗聴対策の防音の個室から出ると神官に見送られながら僕は両親と共に馬車に乗り込むと、馬車は公爵家が治めている領都にある屋敷へと進み出した。


 「早速だがカナタ。授かったギフトの事を教えてくれるか?」


 「うん!」


 父が盗聴対策の為の魔道具を起動させると僕が授かったギフトの事を聞き、僕は授かった【スライム召喚】のギフトの事を話し出す。


 僕が授かったギフト【スライム召喚】。それはスライム種を召喚するギフトだ。まず初めに一匹のスライムを体内の魔力を使用して召喚する。


 この時に召喚するスライムが【スライム召喚】で一番重要な事なのだ。


 一番最初に召喚したスライムがこれから召喚する全てのスライムの根幹を担い、この最初の召喚したスライムの次に召喚されるのは最初のスライムの分裂体になる。


 その為、他の召喚系ギフトとは違って【スライム召喚】だけは本体と言えるスライムは一匹だけ。


 他にも召喚する事ができるスライム種は召喚したスライムに食べさせた物によって数を増やす事も出来る。


 そして肝心のスライムの召喚の魔力消費はスライム一匹あたりは少ない。だが、召喚可能なスライムの数は魔力が無くなるまで無限に召喚する事が出来るのがこのギフトの強みになるのだ。

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