第3話・しまゆり(最終話)

お見合いの日。

あれからすぐにこの日が来たような、やっと来たような不思議な感じ。

相手の男性と会う為に両親と島一番の料亭に向かう。この料亭は島の皆んながずっとお見合いで使ってる。それで営業出来てる所もあるらしい。おめかしなんてして料亭に向かう。

結局私は選べなかった。

流されてここにいる。

きっと湧ちゃんは今頃港かな。

料亭の部屋に入る。

相手は漁港を仕切ってる会社の一つの息子さんらしい。28歳だっけ?

親は喜んでる。そりゃあそうだ。

じゃあ私は?うーんどうなんだろう。

相手は何かを話してるけど全然頭に入ってこない。

やっぱり私は行きたかったのかな。でも、親を裏切るのも嫌だった。

私のわがまま。まぁこのままいれば諦められる。

諦められるんだ。

その時バンッと襖が壊れる勢いで開く!

いや壊れてる!

そこにいたのは湧ちゃん!!

「や、いつまで待っても来ないから迎えに来たよ」

「何で・・・?」

「君ちゃんは優柔不断そうだから決められないと思って」

「何だ君は!」

「島民じゃないな!誰だ!」

両親と向こうの両親にお見合い相手も叫んでる。

そんなの気にしない湧ちゃん。

「君ちゃん。で、どうする?」

「どう、するって?」

「このまま連れ去っても良いんだけどね。やっぱり君ちゃんが決めないと」

「・・・私は」

「言うだけでいいんだ。あとの事は私に任せてくれればいい。君の言葉で聞きたいんだ」

私の言葉、私の意思をハッキリさせる事。

言う事が大事。

そのあとの事はあとで考えれば良い。

「君ちゃん」

「湧ちゃん・・・・私は湧ちゃんと行きたい!湧ちゃんが好き!」

「私も君ちゃんが大好きだよ!」

ニカっと笑うと湧ちゃんは私を抱えた。

ウソ!力強っ!

「君ちゃん、ケータイ持ってる?」

「うん、持ってるけど」

「じゃああとは現地調達で!」

私を抱えたまま走り出す!

「オイ!その人は俺になる人だぞ!!」

「百合に挟まる男は死ねばいい!!」

「湧ちゃん、何その言葉?」

「私の一番好きな漫画さ!」

そのまま私達はフェリーに乗り込み本島へ。


その後はまぁ喧嘩もしたり、もっともっと仲良くなったりして何とか本島で暮らしてる。

親とは疎遠だけど、それはしょうがいない。

でも今私は楽しいよ。湧ちゃんと一緒だからね!

あ、ちなみに湧ちゃんは今私の隣で寝てるよ。


終わり

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しまゆり 藤いろ @willwar

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