第2話・しまさき
湧ちゃんは本島の人間だ。何の魅力もないこの島に自然が好きだからという理由で来て、何をする訳でもなくずっと滞在してる。
来てからどのくらい経ったかな?
湧ちゃんと初めて会ったのは私が島唯一の駄菓子屋でアイスを買ってる時の暑い8月。
「そのパピコ私に分けてくれない?」
私はすぐに「イヤ」と答える。
「何故?」
私の楽しみの一つにパピコを二つとも一気に吸い切るというのがある。
それを説明すると湧ちゃんは爆笑した。
「そんな理由は初めて聞いた!アハハッ!貴方面白い!名前?」
私が答えると「じゃあ君ちゃんと呼ぼう。私は湧ちゃんと呼んでくれ。あぁ本名は後でちゃんと教えるよ」
これが出会い。
そのあとは次の日から毎日会うようになった。
島には友達は何人かいるけど島以外の友達は初めてだ。
私は島から出た事がないから。
そんな友達からの突然の求婚。
「え、っと?女同士だけど私達」
「それが何?」
それが何と来たか!
「私を嫌いかい?君ちゃん」
嫌いじゃない!むしろ好き!
さっきは強いて言った感じにしたけど、多分一番好きだと思う。
「嫌いじゃないけどさぁ」
また見栄を張ってしまった。
「性的に見れないと言う事かな?」
「性っ!」
「どうかな?」
どうと言われても!どうと言われても!ん〜どうなんだ!?
そもそも性的とは!?そういう事をするって事だよね!?そんなの保健体育でしか知らないし!あ〜でも湧ちゃんとそういう事を想像すると変な気分にはなる!これは想像?妄想?
「やっぱり可愛い君ちゃん。顔真っ赤」
「嘘!?」
「ホント♡」
よく顔に出るとは言われる。
「君ちゃんのお見合いはいつ?」
「1週間後・・・」
「君ちゃん、1週間後に本島に帰る。その時私と結婚してくれるなら港に来てくれ。一緒に本島に行こう。私の事が嫌いならお見合いに行くといい」
ズルい言い方だ。
「じゃあ1週間後に」
そう言うと湧ちゃんは帰って行った。
私は1人海を見ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます