しまゆり

藤いろ

第1話・しまこと

私の住む島は本島からフェリーで1時間以上離れた所にある。

特に何が盛んでもなく、観光名所もない。

ただの島。フェリーだって物資の輸送の週1にあるくらい。

そんな島にはある風習がある。

よくある話だけど、親が決めた相手との結婚。

18歳で親と決めた相手と会い

19歳で同棲

20歳で式を上げ、正式に夫婦になる。

私も今年で18歳になる。

親の決めた相手と会わなければならない。

「そんなのおかしいよ」

「おかしい・・・かな?」

港の端で海釣りをしながら私は聞く。

「好きじゃない人と結婚って。SNS上げてみたら?即炎上するよw」

「SNS分からないし・・・そっか変なのか」

「君ちゃんがじゃなくて、風習がって話だからね」

「でも、皆んなそうだしなぁ」

「皆んなが何てこの世でなくならなきゃいけないモノの一つだよ」

この人はハッキリと言う。

私は特に釣るのが目的がない、餌も適当、竿をたらしてるだけの釣り竿を上下させる。

この話は私にとってとても衝撃な事だった。そんな素振りを見せないのはプライドなのか羞恥心なのか。

この人前だとちょっと見栄を張ってしまう。

「君ちゃんは好きな人いないの?」

「好きな人・・・え〜どうだろう、強いて言うなら湧ちゃんかな」

そう言うと湧ちゃんは満面の笑みを浮かべこう言った。

「じゃあ、私と結婚しよう」

「はい?」

「愛してるよ、君ちゃん」

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