第12話 令嬢四人のお茶会

 公爵家の中庭で始まったお茶会。丸テーブルを囲むように座っている令嬢達。


 ヴェーラ・ヴェネジクト侯爵令嬢、クラーラ・ブレンスト公爵令嬢、コリーン・レイン侯爵令嬢、アメリア・ハイゼン伯爵令嬢の四人だ。


「ごきげんよう。集まった理由はお分かりですよね?」


 クラーラ嬢の言葉にもちろんだと言わんばかりに微笑む三人。

 彼女達は王妃から内々に打診されたランドルフ殿下の婚約者候補達。


 皆、王太子妃、末は王妃になるべく育てられた令嬢達。


 ランドルフ殿下の見目は麗しいの一言。令嬢達は自分が選ばれるために必死だ。そんな中、集まったお茶会。


「あら、このお茶、美味しいわね。隣国のモルチェット産かしら?」

「さすが皆様。よくお分かりですわ! わざわざ取り寄せしましたの」

「「「流石クラーラ嬢ですわ」」」


 四人とも表面上はにこやかに会話が進んでいく。


「そうそう、これから皆様と仲良く学院で過ごせるようにお友達の証として作って来ましたの。どうぞ受け取って下さいませ」


 ヴェーラ嬢がそう言うと、後ろで待機していた侍女が三人の元に箱を渡した。


 クラーラ嬢が開けてみると、金細工が施されたネックレスと腕輪が入っていた。


「あら、素敵ね。ヴェーラ様、有難うございます。デザインも普段使いしたくなるくらい素敵で嬉しいわ」

「そう言っていただけると嬉しいわ。これは解毒魔法が掛けられている魔道具ですのよ。これから私達には必要でしょう?」

「まぁ! 嬉しいわ!」


 アメリア嬢が喜んでいる。


「使い方はあとで侍女に聞いてくださいませ」


 ヴェーラは笑顔で扇をパタパタとさせている。


「私も皆様とお近づきになりたくて準備したものがありますの」

「私も」


 そう言ってクラーラ嬢はお香、アメリア嬢は羽根ペン。コリーン嬢は髪飾りを配った。


 どれも令嬢達が喜びそうな品物。


 四人とも嬉しそうに笑顔で品物を受け取った。


「皆様とこうして仲良くなれて嬉しいわ。ランドルフ殿下の婚約者候補同士、ライバルではありますが、学院でも仲良くして下さると嬉しいわ」

「本当に。良きライバルでお願いしますわ」


 こうして四人のお茶会は最後まで笑顔で終わった。

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