第5話 氷の女王

「早く行きましょ!」


ミズキに手を引かれ冒険者ギルドの中に入って行った。


そこには様々な人がいた。ピカピカした装備の人、ものすごく体格がいい人、魔女のような帽子を被ってる人、僕と同級生くらいの男女とか様々いた。


「うわ、本当にいろんな人がいるんだね」


「当たり前じゃない、ここはギルドよ!

ほらあそこの受付で鑑定を受けられるわ」


とミズキから指を刺されそちらの方へ向かった。


そこには冒険者達が列を作り並んでいた。

だが1つだけ列がないところがあった

ボブカットの茶色い髪の大人っぽい女の人がおり、目は切れ目で綺麗な人だった。


「ねぇミズキなんであそこには列がないの?」


ミズキは困った顔をしながらとても言いづらいそうに


「えーとね。あの人は受付を仕切る人なのよ、でもみんな怖いって言ってあの人のところには誰も並ばないのよ」


僕はミズキの話を聞き、なにも無かったようにその人の所に言った。


「あのすみません、鑑定魔法を受けたいんですけど…」


「かしこまりました。では貴方の名前、ご年齢などをこの紙にお書きください。」


確かに言い方は少し怖いけどそこまで怖い人じゃない気がする。みんなの勘違いでは!?


「はい書き終わりました」


「少し確認しますね」


それからその受付嬢はパソコンで操作をし始めた。それから5分後


「完了しました。まず鑑定魔法を受ける前に冒険者の仕組みを説明いたします。

冒険者にはランクがあり上からS級から下が

F級まであります。魔物やダンジョンも同様SランクからFランクまでがあります。」


ものすごく早口で話してるんですけど

この人の名前も聞いてないし。


「それから鑑定魔法を受けその職業でダンジョンに挑めるかが決まります。冒険者職ならダンジョンに入る事は可能です。ですが生産職なら入らないことはありませんが、1人で入ることはできません。パーティーを組んで入ってもらう形になります…」


それからその受付嬢から淡々と冒険者の説明をされた。そして彼女は何かを思い出した様な顔をした。


「あ、すみません私の名前は伊藤梨々香と言います。一応このギルドの受付長をしています。そしてこれが最後の説明です。コウくん冒険者はお金は稼げますが、命を何より大切にしてください。」


「はい!梨々香さん必ず無事で帰ってきます!」


梨々香さんから言われ僕は梨々香さんの顔を見て笑顔で返した。


そのコウと梨々香のやりとりを見ていた周りが何かザワザワし始めた。


(おい!なんだあの坊主氷の女王の所に行って泣かないで普通に話してるぞ)


(そんなことあるかよ。俺なんて少し漏らしたぞ)


(同性の私でも流石にあれは怖いわ)


(あの坊主は勇者か)


(勇者にちげーね!)


周りからこんな声が聞こえてきた。

それを聞いた梨々香はため息を吐きながら困ったような顔でコウに言った。


「コウくん今なら受付嬢を変えることが出来ますよ?冒険者登録をしてからだと多少問題があるので変えるなら今ですよ」


「いやいや僕は梨々香さんがいいんです!

是非梨々香さんでお願いします。」


「コウくん。」


梨々香は少し頬を赤くしながら照れていた。

それからコホンと咳払いをしながら


「それではこちらで鑑定魔法を使います

ステータスは相手にもう見せることができますので」


と梨々香の後をついて行ったら真ん中に水晶がある部屋に招かれた。


「ではこちらの水晶に手を置いてくれますか?そしたら鑑定魔法が発動いたします。」


僕は梨々香さんに言われるがままに水晶の上に手を置いた瞬間、部屋いっぱいに光が輝き始めた。


それを見た梨々香は少し焦った顔を見せ、

一瞬で元の顔に戻った。


「それではステータスを言って見てください。」


コウは梨々香に言われるがままに


「ステータス」


と言った。

そこには不思議な職業の名前があった。


「あの梨々香さんこの職業ってなんですか?」


「ふぇ?これは。」


それをまた梨々香はさっきより焦った顔をして少し間抜けな声を出した。

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