結界

 僕が発動させた結界。

 その中にミレージャはしっかりと閉じ込められ、逃げることが出来なくなる。


「本当に、何処までご存知なのですか?」


 そんな中で、ミレージャは素直に困惑の言葉を漏らす。

 まぁ、それもそうなるだろう。

 自分の奇襲は完全に読まれているわ、逃げ道を塞ぐためのものは前もって潰されているわ、で……本当に徹底的に何もかもが潰されているわけだからね。


「大したことは知らないさ」


 その上で。


「ただ、何があってもいいように準備をしていただけ」


 僕は何も知らないという態度と共に、口を開く。

 自分の持っている知識チートのことなど、敵にバラすはずもない。

 これは僕の持つ切り札だからね。

 

「君の奇襲もバレバレだったしね」


「ふふっ……言ってくれますね」


 奇襲に対応できたのはお前が弱いから。

 この結界も日ごろの備え。

 そんな態度を僕は貫き通す。


「それでは、これならどうですか?」


 そんな僕に対して、ミレージャは不敵に笑みを浮かべながら、ゆっくりと片腕を持ちあげる。


「君が用意周到なように、私の方も用意周到なのですよ」


「……何をするつもりだ?」


 そんなミレージャを前にして、僕は眉をひそめながら警戒心を込めた言葉を口にする。


「身一つで、私が来ることはありません。勝負とは、始まる前から決まっている。己が勝利出来る状況をあらかじめ作ってから、動くべきなのですよ」


 そんな僕を前に、ミレージャは不敵な笑みと共に言葉を並べる。


「さぁっ、爆破しなさいっ!」


 そして、その末にミレージャはかっこよく指を鳴らすと共に、大きな声をあげる。


「……」


 ……。

 …………。


「……」

 

 ……。

 …………。


「んっ?」


 だが、何も起きなかった。

 散々とイキり散らかした末、ミレージャの行動は何も起こすことなく消えていった。


「な、何故っ!?」


 その現状を前に、ミレージャは驚愕の声を上げて、慌て始める。


「ハッ」


 そんなミレージャを見て、さっきまでの態度は何処へやら、僕は全力で彼を鼻で笑ってやるのだった。

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