オルドーを瞬殺した僕を見て、メッゾとフィーネの二人は警戒心を高ぶらせて、こちらの方へと警戒心を高ぶらせる。


「おい……暴食の対応策は頭に入れているよな?」


「もちろん。入れているわよ……でも、私は暴食についてしか聞いていないわよ?転移とかできるとか聞いてないっ」


 そんな二人は僕を前にして堂々と作戦会議をしていた。


「別に僕は剣も、魔法も一流クラスに使えるよ」


 その会議へと遠慮なく僕も乗っかっていく。


「ずるくない?」


 その僕の言葉にフィーネは食いついてくる。


「こっちの使う魔法は無効化されて、その上で剣も、魔法も使えるとかずるいじゃない。私たちが遠距離攻撃出来ない中で貴方は普通に攻撃魔法を使ってくるのでしょ?私たちはサンドバックじゃないのよ?」


「これも才能と努力さ。でも、君たちとてそこそこだろう?二人で立ち向かってくれればそこそこ善戦は出来るんじゃないか?」


「その態度、随分とムカつくじゃないか……俺たちを舐めているのか?」


「まぁ、うちらの仲間で偉そうにペチャクチャ喋っていた奴が瞬殺されたからね」


「……それもそうだな」


「いや、仕方ないよね……あんないきなり転移とか見せられても咄嗟に対応しようがないよね」


「さっさと逃げるのが吉だったな」


「……今からでも逃げられないかしら?私たち」


「……ワンチャンいけるんじゃないか?」


「いや、こんな学園を無茶苦茶にした不届き者を許すほど僕は甘くないよ」


「クソっ……ダメだったか」

  

 敵として殺し合いをするような立場で立っている者たちの会話と思えないような会話を僕たちは繰り広げていく。


「さて、と。そろそろ、君たちのボスが来る頃かな?」


「「……ッ!?」」

 

 そして、散々と会話を交わした後に告げた僕の言葉に二人は息を詰まらせる。


「き、気づいていたの……?」


「お前たちが時間稼ぎの為にペラペラと喋っていたこと?それはもちろん。その上で僕は乗ったのさ」


 時間稼ぎ。

 それは当然だろう。

 向こう側は第二の矢を残しているわけで、それが来るまで二人が待つことはそんなに不思議なことでもない。


「リーべの方も終わらせているし……」


 僕が会話している間にも、リーベは自身が受け持った二人をしっかりと倒している。


「いやぁ、君たちは重要な情報源だからね……捕まえさせてもらうよ」


 僕は近々、学園に襲撃者が来ることをゲームの知識として端から知っていた。

 だからこそ、長い時間をかけて準備をすることが出来た。


「……ッ!?」


「まっずっ!?」

 

 今、この時の為のものもあらかじめ用意してある。


「誘惑世界」


 僕は一週間かけて準備していた大魔法を迷いなくこの場で発動させるのだった。

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