五人組

 襲撃者として、この学園へとやってきた五人。

 それはゲームに登場した者たちとまったくもって同じである。


「リーべはあの赤髪と緑の髪をお願いっ!僕は青に黒とピンクの残り三人を狙うわっ!」


 だからこそ、自分の前にいる全員バラバラで並ぶとかなりカラフルな五人組の情報も自分の頭の中にしっかりとあった。

 その上で、僕はリーベとの相性が良いと判断した赤髪と緑の髪の二人を任せる。


「ま、任せて……っ!」


 そんな僕の言葉にリーベはちょっとだけ怯えの感情も見せながら頷く……よくよく考えると、リーベにとってこれが初実践になるのか。

 その彼にこれを任せるのは……いや、とはいえ、リーべはそんなに弱くない。

 主人公だとか、そういうのは抜きに、ただの友達としてリーベは強い奴だと断じることが出来る。

 この場でも何とかしてくれる……はず。


「リーベ。信じている」

 

 その思いと共に、僕はリーベに声をかける。


「~~うんっ!」


 そんな僕の言葉にリーベは力強く頷いてくれた。


「ありがとう」

 

「はっはっはっ!」


 僕とリーベが互いに信頼感を確認し合っていた中で。

 五色いる五人組のうち、一番地味な黒髪の男が急に高笑いを浮かべ始める。


「まさかっ!餓鬼が二人来て俺たちに勝てるとでもっ!?」


 そして、その黒髪の男はゲームでも見たような傲慢そのものと言えるような態度を自分の前でもさらけ出してくる。


「俺らは餓鬼にまけ───」


「うるせぇ」


 そんな黒髪の男との距離を僕は何もない宙を蹴ることによって一息で詰めると共に、自分の握り固めた拳を彼の腹へと突き刺し、強引にその場から吹き飛ばしてやる。


「お前らもだっ」


 そして。


「ぐぬっ!?」


「きゃっ!?」


 一気に距離を詰めてきた僕へと驚愕の表情を浮かべて固まっていた残りの四人のうち、青髪とピンク髪へと蹴りを放つことでそのまま二人も思いっきり吹き飛ばしてやる。

 そして、この場に残ったのは赤と緑の髪だけ。


「こっちは任せてねっ!」


「おうっ!任せたっ」


 その二人と向き合い始めたリーべの言葉に頷いた僕はそのまま彼にこの場のことを完全に任せ、自分が吹き飛ばした残りの三人の方に向かっていくのだった。

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