嵐の前の
学園の玄関口に女子生徒の遺体が吊るされ、学園全体に衝撃が走ってから早いことでもう一週間。
僕は裏のほうで、学園長の方と連絡を取り合いながら色々と動きながらも、さほど普段と変わらないような学校生活を送っていた。
「んー、お腹すいた」
二限の授業終わり。
僕は体をゆっくりと伸ばしながら、口を開く。
「まだ、お昼までは一限残っているよ」
そんな僕に対して、自分の隣にいるリーベが声を上げる。
「めんどっちぃー。三限の授業って何だっけ?」
「歴史学のはずだよ」
「うわー、よりもよって歴史学か……一番テンション上がらないやつ。先生が普通に嫌なんだよな」
歴史学の先生は明確に僕の中で嫌いに分類されるような人間だった。
あいつ、すっごくいやらしいくせに権力には媚びるタイプの人間だからな。
僕やリーベにはクソほど甘い癖に、平民にはキショいの見ててかなり不快である。授業も下手だし。
「まぁ、確かにそうだけどね」
そんな僕にリーベも同意を示す。
「このまま授業を飛んでやろうかな」
「いや、駄目だよ……もう、結構休んでいるじゃん。それなのに更にサボろうとするなんて」
「……いや、僕が休んでいるのはちゃんと理由があってのことだからこれは仕方ない。自分が悪いわけではないのでセーフ」
ちゃんと仕事で休んでいるわけだからね。
これは悪くない。ノーカンだよ。
「というか、あれやん。ここまで休んでいて、許されているだから、ここはもう飛んでもいいってことだよ。僕は侯爵家。休んでも許される特権階級!」
「いや……そうはならないよ。ちゃんと頑張らないと」
そんな僕にリーベは呆れながら口を開く。
そんな会話をしながらも、僕はリーベと共に次の授業の準備をしていく……そんな中で。
「……ん?」
「……あれ?」
僕とリーベは揃って何かを感じ取って首を傾げ、視線の方を動かす。
ちょうどその瞬間。
「「……ッ!?」」
僕とリーベはこちらに向けられる強い殺意を感じ取って勢いよく立ち上がるのだった。
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