学園長

 リーベが聖光によって女子生徒の周りを覆っている魔法を綺麗に斬っていくことで遺体の周りに何もない状況にした状態とし、僕が回収できるようになった遺体を回収。

 その後、残った部分を僕が暴食で食らえば終わりである。

 しっかりと遺体の中に細工がされていないことまで確認し終えた後、僕は遺体の方を学園の方に引き渡した。


「わざわざすまないな……こちら側の不手際で。生徒に頼らざるを得なかった我々を許したもらいたい」


 無事に女子生徒の遺体を引き渡せた後、僕はリーベと別れて一人で学園のトップ。

 学園長へと面会していた。


「いえいえ、大丈夫ですよ。自分も生徒である前に名誉ある貴族の一員です。国の為に協力することは当然です。自分の力が必要でしたら、何時でもお頼りください」


 そんな学園長との面会でまず告げられる謝罪の言葉に誠意ある言葉を返す。


「ありがたい……それで、今日は君に聞きたいことがあって来てもらったのだ。経験豊富な君に」


「おや、どうやら自分が色々と動いていたことを学園長も知っておられるのですか?」


「うむ。これでもわしは元々、国の頂点の近くにまで上り詰めた男だからな。君の家についてもある程度知っている」


 目の前にいる学園長はゲームにも出てくる初老の男性。

 元々は平民の出でありながら、その腕っぷしと抜群の平衡感覚によって、平民が理論上上ってこられる位置にまで上がってきた男であり、国の英雄と言えるような御仁だ。

 アイランク侯爵家の家業について知っているのだろう。


「なるほど。そうでしたか」


 アイランク侯爵家が代々、我が国における防諜の大部分を担い、その当主は常に国内最高峰の諜報員であることを。

 そして、当然。

 その系譜を継ぐ僕の家業の一つに防諜も含まれている。

 既に父上から実力はトップクラスであると認められている僕はまだ細やかであるものの、国の命令に従って、諜報活動も行っている。今、学園長はその経験から、今回の事件について何か、思い当たる節があるかを尋ねているのだろう。


「そうですね……恐らく」


 これはちょうどいい。

 自分が持っていた原作知識を堂々と言える時だ。

 僕はこれ幸いと全然、諜報関係で得た知識とは全く関係ない、ゲーム知識のことをペラペラと喋っていく。


「うむ……なるほど。それで、どうなる?」


「最悪に発展する可能性もありますが、最善の動きを続けられれば、しっかりと抑え込めるはずです」


「……であるならば、最善でなければならないな」


「えぇ」


 そして、話せそうなところまで話し終えた僕は覚悟を決めた表情を浮かべる学園長の言葉に頷くのだった。

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