動き出す
平和な学園生活。
だが、それが永遠に続くわけではない。
「……そろそろかな?」
永遠に平和が続けば、ゲームにならない。
ストーリーを作るには敵がいて、起伏が作られなければならない。
この世界にいる敵の数、組織は数知れず。
僕たちの学園生活は簡単には終わらないだろう。
「……」
そんな学園生活。
そろそろ、ゲームのイベントごとが近づいてくる時期だと思う。
「うぅーん」
一人で学園内のこじんまりとした図書室にやってきている僕は紙の前でペンを持ちながら前世の記憶に意識を送る。
そろそろイベントごとが起こる頃だろうけど……それでも、そのすべてあゲーム内で語られていたわけではない。
そんな詳細に、ガチガチにゲームで描写することもないしね。
「いやぁ……助けに行けたら良いんだけど、何処で起きるかわからないんだよなぁ」
ゲームの知識について思いを馳せることしかできない僕は、一番最初に起こったゲームの事件について考えながら、何も出来ない中途半端な己の身を前にため息を吐く。
「どうにかして、何か出来ると良いんだけどなぁ」
紙を前にする僕は自分の知識をペンで書きながら、考えをまとめていく。
「……」
今世で生きてきて初めて得た知識などもある。
それらを組み合わせることで新しく見えてくるものなどもある。
僕はちょっとだけ先行きが心配な主人公たるリーベの姿がある中で、このゲームの世界を生き抜くための考えを深めていくのだった。
■■■■■
グラースが悩み事を抱えていた中で。
確実にこの学園の暗部は動き出していた。
「や、やめて……やめてください」
人気のない場所で。
学園の制服をその身にまとう少女の、か細い悲鳴が響いてくる。
「どうして……あれだけ、あれだけ優しくしてくれていたのに、何で」
「すべてはこの時の為だった」
「何が……何で、こんなことを」
「我らが大義の為に」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ」
悲鳴を上げる少女。
そんな彼女へと、闇からの手が近づいていくのだった。
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