関わり合い
学園とは自分たちの人間関係を広げていく場でもある。
「グラースくんの暴食って本当に何でも食べられるの?」
「ん?まぁ、基本的にはそうだよ」
「つまり……放出系の魔法なら何でも無効化出来るっことだよね」
「そうだよ」
「……うぅ、それじゃあ、放出系の魔法を得意とする私じゃ勝つことなんて。やっぱり、」
「いや、そんなことはないと思うよ。僕のような放出系の魔法をすべて完全に無効化出来る人間ってのは自分以外にいないと言っていいからね」
放出系の魔法を無効化なんていう無茶苦茶が出来る人間なんて早々いないし、いてたまるかと思う。
「そんな僅かな可能性。万能さを求めるのもありだと思うけど……別に、近距離戦闘が得意というわけじゃないでしょ?」
「まぁ……恥ずかしながら」
「放出系の魔法を際立って得意としているのなら、それをきわめていくのが良いと思うよ。確かに極振りだと、相手と有利不利が出来やすくなるというのはそうだけど、そもそもとして自分が不利な状況へとならないようにするのが一番だと思うかな。常に自分が得意な状況で戦う。そうなるための番外戦術を極めるのは大事だと思うよ」
「なるほど……!ありがとう!」
「自分が少しでもお役に立てたのならよかったよ」
いつもリーベとばかり話している僕も色々な人間と関わりを持っていた。
「なぁ、俺もちょっと相談事があって」
「うん、何?」
ちなみに、僕は他のクラスメートたちから実力面で頼られていることが多かった。
「ずいぶんな人気なようね」
そんな僕の元にレイシアの方が近づいてくる。
「これは人気と言えるのかちょっと首をかしげたい状況ではあるけどね」
「頼られているなら良いじゃない。誇りなさいな。ところで、さ。貴方って確か、婚約者いないわよね?婚約者どうするの?そろそろ親の方からもせっつかれている頃じゃない?」
「……そうだね」
急速なカーブによって差し込まれたレイシアの言葉に僕はしぶしぶながらも頷く。
「今のままじゃ不味くないかしら?」
「それはそうだけど……同じく婚約者のいないレイシアには言われたくないね」
婚約者がいないのは僕だけじゃない。
同じ侯爵家であるレイシアだって同じである。こっちだけ言われるのは不公平やんね。
「だから、聞いているんじゃない。私も同じ身であるからこそ。私、あまり婚約者とか興味ないけど、貴方が先に婚約者出来て、同世代の侯爵家の中で私だけ残るってのは嫌よ。いつ、貴方が婚約するのかと思って」
「僕をボーダーラインにするなよ」
ずいぶんと勝手なレイシアの言葉に対して、僕は苦笑を浮かべながら言葉を返すのだった。
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