人間関係
新人戦で僕が見事、優勝したその日。
「ぶぅー」
僕は自分の隣で頬を膨らませているリーベと共に学園から王都に帰る道を歩いていた。
ちなみに、僕は今、王城の方に居候させてもらっているので、リーベと帰り道が同じなのだ。
「何を膨れているの?」
「僕の戦いを見てなかった」
「ん?」
「途中からレイシアとかいう女にかまけて僕の試合を見ていなかった!不服だよ!何で、僕を見てくれなかったの!?」
何で膨れているのか、そんな僕の疑問に対して、リーベは不服を全力で示してくる。
「いや、どうせ、リーベは勝つじゃん」
正直なところ、同級生の中だと僕にリーベの実力は周りより頭が二つ、三つ抜きんでている。
別に見る価値の試合はさほどないだろう。
「それでも、僕を見ててよ!他の人にかまけていないで!」
「いや、何も僕たちだって二人でずっといるわけにもいかないでしょ。色々と交友関係を増やしていかないと」
自分だけを見て!そんなことを宣うリーベに対して、僕は苦笑しながら口を開く。
「むー!僕たち二人だけで十分!」
「いや、駄目だろ。特に僕とか侯爵家の次期当主だよ。ぼっちの当主とか最悪すぎるでしょ」
これまでの僕は割と他人との関わりが薄かったからね。
学園では色々と顔を広げていく必要があるだろう。
「むぅー」
「それはリーベでも同じでしょ」
「僕、国王、ならない」
「だとしても、王族である以上、コネは必要だよ。人間関係から逃れることは出来ないさ」
「グラースだけで十分。結局のところ、最後に大事なのは個人の武力。暴食なんていう反則スキルを持っているグラースが一人いるだけでもう十分だよ」
「反則スキルとは君に言われたくはないかな」
最終的にグラースもゲームでは倒しているリーベの固有魔法たる聖光は化け物スペックである。
反則度で言えば、僕も、リーベもどっこいどっこいである。決して、リーベから一方的に言われたくはない。
「なら、二人だけでいい。二人で最強。何の問題もない」
「いや、あるから。どれだけ強くとも日常生活は困るでしょ。僕たちが毎日食べている者は誰かが作ったものだし、今、着ているものだってそう。人は助けあって生きていくものでしょ」
「むぅー」
「それに、そろそろ……僕やリーベも婚約者について考えなきゃいけない頃でしょ」
「……ッ」
「貴族として、ちゃんと子孫も作っていかなきゃいけないからね」
僕、婚約者どうしよう。
なんてことを考えながら、僕は帰路をリーベと共に進んでいくのだった。
「……イや」
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