悪役貴族の力
リーベが顕現させた女神を一瞬で食い破っていく僕の暴食。
「えっ……?」
それを前にリーベが信じられないとばかりに口を開く。
「うそでしょ……?」
わかるよ、その絶望感。
僕もプレイヤーとしてグラースと戦っていた時、最近使用可能になった拡張魔法を意気揚々と使って三秒で退場させられたときは台パンしたものだ。
「リーベには一回見せたでしょ。あの地下アジトを崩壊させたのは暴食の拡張魔法で地面をすべて食い破った結果、崩壊したのさ」
「……ッ!そういうことだったんだ。つまり、グラースの拡張魔法って……口を出す先を伸ばすってことね」
「そういうこと」
僕はリーベの言葉に頷きながら、魔法発動の準備を進めていく。
「押しつぶせ」
そして、僕は大量に魔法を発動させていく。
炎、水、風、土。
使用難易度が低い、基本的な基礎属性の魔法を一度に数百と発動させてリーべの方に飛ばしていく。
「嘘でしょっ!?」
闘技場全体を覆いつくすような魔法の数々。
それを前に目を見張るリーベはそれでもすぐさま立ち直し、聖光を手にまとわせて手際よく自分にぶつかりそうな魔法を無効化していく。
「ふーん」
今のところ、リーベが出せる聖光の大きさと量には限界があるみたいだね。
ゲーム終盤の主人公のように、細長い大量の聖光を縦に並べてそのまま盾するなんていう無茶をやったりは出来ないみたいだ。
「本当にそれ、ずるいっ!僕の魔法はすべて暴食で食べられるのに……!そっちは無限に打てるもん!」
「いや、君とて魔法も斬るやん」
聖光でサクサクと魔法で斬り捨てて無効化していくリーベに言い返しながら、更に魔法の数を増やしていく。
「ぐぬ……っ」
その圧を前にリーベが屈しそうになっている中、僕は魔法でもって上空へと上がっていく。
「このままフィナーレだ」
上空へと上がっていった僕はそのまま上から全力で魔法をリーベに向かって降り注がせていく。
もはや逃げ場などなく、ずっと魔法が浴びせ続けられる現状に。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああっ!!!」
リーベは悲鳴を上げ始める。
「勝ったな」
そして、リーベが魔法を落としきれなくなって当たり始めてそのまま体に傷を増やしていった段階で僕は魔法を止める。
「うぅ……」
魔法によって吹き荒れた土煙が晴れた後、それで見えてきたのは傷だらけの姿で地面に倒れているリーベだった。
「降参?」
そんなリーベへと僕は疑問の声を上げる。
「……うん、もう無理」
その僕の言葉にリーベは地面に倒れたまま降参を口にするのだった。
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