一般常識

 というわけで始まった学園生活であるが、最初の一週間は基本的に楽勝である。


「魔力とは、基本的に全生物が生まれながらにもっているものであり、ありとあらゆるものの動力源となっている。魔力は身体能力強化や魔法、魔道具のエネルギー源として活用されている」


 本当に基礎の基礎についての説明がなされているからだ。


「その中でも特に、君たちがこの学園内で関わっていくのは魔法における魔力活用となっていくだろう。知っているだおろうから、あまり詳しくは話さないが、簡単に言うと魔法における魔力活用のプロセスは第三段階の工程に分かれている。まずは第一に体内の魔力を体外へと放出する。第二に魔力の属性を変換する。第三に魔法陣によって属性が決まった魔力の形を決定し、魔法とする。この三つのプロセスだな」

 

 魔力や魔法関連がいくら、この世界に来て初めて知るようなものであっても、貴族社会では普通に幼年期から教えられるようなものであり、流石の僕ももうわかっている。

 魔力を魔法に変える際、一番重要な魔法陣なんかを自分で一から構成したりすることもあるくらいにはもうこの魔法文明に慣れ親しんでいる。


「属性においては君たちの知る通りだ。火、水、風、土の基本四属性。それに氷や雷などの特殊属性等。様々なものがあり、君たちであれば誰でも使えるとはいえ、使用難易度が高く、あまり使える人がいない特殊属性でも見たことのある者が多いだろう。だが、それでも君たちであっても世界でその個人だけが生まれながらに持っている固有の属性を元にする固有魔法を見たことのある人はいないんじゃないだろうか?幸運なことに、我々のクラスには固有魔法の使える生徒が二人もいる。その魔法を私たちには見せてくれないだろうか?リーべとグラースよ」


「良いですよ」


 授業中、いきなりロアイ先生から話を振られた僕はそれに頷きながら立ち上がる。

 そして、そんな僕へと続くようにしてリーべの方も立ち上がっている。


「自分の固有魔法は暴食。ありとあらゆるものを食らう魔法ですね……まぁ、魂ある生物は無理なんですけど」


「それで、僕の固有魔法は聖光。ありとあらゆるものを切断する聖なる光を出すって魔法ですね。僕はグラースのようにうまくは使えないんですが……こんな感じです」

 

 淡々と魔法の概要について説明し終えた後、リーベが気軽な形で聖光によって作られた光の刃を手にまとわせ、そのまま机を切断。

 その後、その切断した光の刃を僕の方に投げつけてくる。


「それで、それを僕が食らうと」


 そして、その光の刃を僕は暴食の魔法で綺麗に食らい、なかったことにしてみせる。


「というわけだ。いい勉強になっただろうか?ありがとう。座ってくれて構わない」


 リーベが切断した机を魔法で修復するロアイ先生は自分たちの軽い演武について語った後、自分とリーベに座るよう告げるのだった。

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