クラス

 僕とリーベが振り分けられたAクラス。

 そのメンバーは十名強であり、その一人一人は自分の知るゲームのままだった。

 入学式の日に行われることは少なく、まずは簡単に自己紹介を全員がすれば、あとは先生から軽い知らせがあるくらいだ。


「まず、うちの学園では生徒の一人一人が最初からある程度の教育を受けていることが前提となっている。君たちは生まれながらのエリートであり、既に多くの英才教育を施されているところだろう」


 教卓の前に立つ一人の男性。

 ニューストン子爵家の現当主の実の弟であり、数年前までバリバリの騎士として第一線で活躍していたロアイ・ニューストン。

 騎士を引退して学園の教師となった彼は今、僕たちのクラス担任として自分たちへと言葉を話していく。


「そんな君たちの現在の実力を測るべく、我々の学園では最初に新人戦を行ってもらう。やることは簡単だ。トーナメント形式で戦ってもらう。以上だ」

 

 ゲームでもあった最初のイベント、新人戦についてロアイ先生は淡々と説明を行っていく。

 ちなみに、この新人戦こそがゲームにおける悪役貴族たるグラースと主人公たるリーベの初対決である。

 クラスメートである下級貴族生まれに対して酷い態度をとる傲慢かつ横暴なグラースに、リーベが反感を抱いて戦うに行くという図である。

 まぁ、今回の新人戦ではそんな様子を見られないと思うけど。


「軽く実力を見たい、という程度の話なので、そこまで気負ってもらう必要はない。軽く考えていてくれ。行なわれるのは今から一週間後だ。このトーナメントの前日には筆記面の方も見るため、総合テストが行われる。勉学の方もしっかりと確認するので、そのように考えていてくれ」


 僕がゲームについて考えている間にも、ロアイ先生は淡々と説明するべき事項を話していく。


「それでは、入学式から君たちの実力を測るテストが行われるまでの一週間は何が行われるのかというと、簡単な学園に関する説明から、一般常識の確認等を行っていく。簡単だろうが、これも決められた教育プランだ。そのつもりでいてくれ。話は以上だ。何か質問等はあるか?」


 すべてを話し終えたロアイ先生は周りに質問があるかどうかを尋ねる。


「……」


 それに対して、何かの反応を見せる生徒はいない。


「よし、それでは私からは以上だ。これにてホームルームを終了とする。各々、交友を深めるように。それでは解散」

 

 それを見て頷いたロアイ先生は今の時間の終了を告げ、そのまますたこらさっさと教室から退出していくのだった。

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