クラス分け

 入学式は基本的に前世のものとさほど変わりない。

 大して面白味もない学園のお偉いさんの話を聞き、完全に外部より作られたスピーチを新入生代表として僕が、そして、在校生代表として学園の生徒会長がありきたりのスピーチをすればもう入学式は終わりだ。

 

「スピーチ、かっこよかったよ!感動したっ!」


「ありがとっ。でも、原稿は用意されていたから誰がやっても同じだと思うけどね」


「それでもだよっ!」


「まぁ、リーベが満足したならよかったよ」


 そんな入学式の後、僕とリーベは共に会場から出てきていた。

 

「さて、それじゃあ、クラス分けを見にいきますか」

 

 目指すのは新入生のクラスが掲載されている中庭の掲示板である。

 この学園ではクラスがA、B、Cと三つに分けられているのだ。

 学園には我が国の貴族の子息子女以外にも、海外からの留学生や、大商会の子息子女なんかもおり、結構生徒数としては多いのだ。


「あっ、それは見に行かなくて大丈夫だよ」


 自分たちのクラス分けを確認しに行こうと声をかける僕に対し、リーベは軽い様子で告げる。

 

「既に僕たちのクラスはわかっているからね」


「……お前」


 この、リーべの最初からわかっていますよ、という態度……こいつ、やったな?


「僕たちのクラスはAクラスだよ!ちなみに僕は何もしていないからね」


「……そうか」


 ゲーム通りのクラス分けではある。

 こいつ、元から僕と同じクラスだったから何もしなかっただけで、もしも違っていたら普通に圧力かけて変えるつもりだったでしょ。


「ちなみに僕は何も言っていないよ?」


「目が雄弁に語っていた、こいつ、やったな?って」


「実際にやる気だったろ。もし、僕とリーベのクラスが違っていたら」


「うん」


 僕の言葉にリーベは一切迷うことなく即答してくる。

 いや、おい。


「おい、王族。それでいいのか」


「大丈夫、大丈夫。歴代の王族たちもこれくらいは普通にしている。自分の兄の方も普通に自分と仲良い友達が同じクラスじゃなかったからという理由でクラス分けを替えさせていたよ」


「えぇ……」


 これが我が家の王族か。

 何と汚い。学園は原則、権力による横行は防ぐとされているのに。


「だから、僕は悪くない」


「全然悪いけどね?悪いやつ同士で比べられても困るよ」


「ぶぅー」


「それでAクラスだよね?」


「うん、そう」


「それじゃあ、さっさとそのクラスの方に行こうか」


「そうしよ!」


 僕とリーベはやいのやいの言いながら、中庭の掲示板には向かわず、直接自分たちの教室の方に向かうのだった。

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