成長

 十二歳となったリーベ。

 その彼の見た目は色々と想定外の成長の仕方をしていた。


「ふぇぇぇぇぇぇえええええええええええっ!?」


 僕のいきなりの訪問を受けて驚きの表情を浮かべながらベッドに腰掛けているリーベ。

 その彼の背丈はほとんど成長せず、その代わりとして髪ばかりが伸びている。

 顔立ちも女の子らしさを存分に残している。


「やぁやぁ、久しぶり」

 

 そんなリーベへと僕は笑顔で近づいていく。


「えっ!?あっ……う、うんっ!?」


「ちゃんとご飯食べている?全然身長とか伸びていなくない?」


 本編開始時のゲームの主人公は僕よりも高い背丈を持っていたというのに、今のリーベは僕よりも背丈が小さい。

 大丈夫だろうか?


「う、うん……食べているよ。そ、そんなことより何でグラースが僕の部屋にっ!?」


「学園の入学式が近いからな。普通に王都へとやってきただけ。王都に来てすぐ、リーベの元に来たんだよ?会いたかったでしょ?」


「い、いや……それは、もちろん。そぉだけど……ハッ!学園!そっか、もうそんな時期かっ!」


「そうだね。そんな時期だよ」


「と、ということはつまり……また、一緒に長い時間を共に出来る、ってこと?」


「まぁ、同じ学園に通うわけだからね。クラス分けで別になったら、一緒に過ごせる時間は減るだろうけど」


 まぁ、ゲーム本編では同じクラスだったから、多分、ここでも同じクラスにはなると思うけど。

 想定外の事件だった四年前の誘拐事件より、自分のゲーム知識が何処まで役に立つのか、確認の為に様々なことをやってきたが、基本的には有用であるということはわかっている。

 信頼し続けるのは問題だが、ある程度の参考になるはずだ。


「大丈夫だよ。その時はね。だって、僕は王族だもの」


「おい?当たり前のように権力を振りかざすな?」


 自分のクラス分けが気に入らなかったから、王族としての権力を振り回しますなんて前代未聞やろ。


「えへへへ、そっかぁ、……そっかぁ。また、あの時のような日々が戻ってくるんだね」


「学園に通っている分、あの時のままというわけにもいかないと思うけどね?ところでさ、リーベは僕以外の友達は出来たの?自分が王都にいなかった二年間の間に」


 なんか、最後に別れてから二年間あったというのに、二年前とほぼ変わらないようなリーベの態度を見て、僕は首をかしげる。

 もっと、こう。ほかに友達とか出来て精神面や、自分への付き合い方とか変わってくるかな?っとか思っていたのに、一切の変化がないのだけど。


「えっ?出来ていないけど?」


「えぇ……」


 そんなことを思っての僕の言葉に対し、さも当然かのように即答するリーべの言葉へと思わず困惑の声をもらすのだった。

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